共同研究

昭和戦前期の青年層における民俗学の受容・活用についての研究

工学院大学図書館での調査

日程:2017年9月11日(月)・12日(火)
調査先:東京都立中央図書館、工学院大学図書館
調査者:丸山泰明、黛友明

工学院大学図書館(新宿キャンパス)での調査

 東京都立中央図書館での文献調査と、工学院大学図書館の今和次郎コレクション・竹内芳太郎コレクションの資料調査を行った。今回の調査において特に重点を置いたのは、竹内芳太郎による民俗芸能の記録である。民家研究や農村建築研究の業績で知られる竹内は芸能についても強い関心を持っており、庶民芸能の上演空間について研究した『野の舞台』(ドメス出版、1981年)を晩年に上梓している。今回の調査の結果、昭和初期に日本青年館で開催されていた「郷土舞踊と民謡の会」に関して、第4・5・7・8・9・10回の大会を記録したノートが現存していることがわかった。またその他の芸能大会や、寺社に設けられた掛小屋の調査記録もあることが明らかになった。
 「郷土舞踊と民謡の会」が催されていたのは、民衆娯楽への関心が社会的に高まり、民俗学や民藝運動が地方の文化に注目した時代である。また在来の芸能のみならず、新民謡といった新たな芸能がレコードやラジオなどの新メディアにのって広まっていった時代でもあった。竹内は、地方の青年たちが演じる芸能を観察しながら、何に着目し、どのように記録したのか。今後の研究の進展が期待される。

(文責:丸山泰明)

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日本青年館での調査

日程:2017年8月22日(火)~8月23日(水)
調査先:日本青年館
参加者:丸山泰明、小熊誠、木村裕樹、小林光一郎、黛友明、室井康成

図書・資料センターでの調査の様子

 日本青年館は、日本の民俗学の誕生と形成に重要な役割を果たした場である。1935年には柳田國男の還暦を記念して日本民俗学講習会が開催され、この会をきっかけとして「民間伝承の会」が発足した。同会はその後、「日本民俗学会」と改称し、民俗学に関する学術組織として現在に至っている。1925年には「郷土舞踊と民謡」という民俗芸能を上演・公開するイベントが開催され、同種のイベントが1936年まで続いた。今日でも全国民俗芸能大会を開催している。また、1934〜37年までの短期間だが、館内には大日本連合青年団郷土資料陳列所という博物館が公開されていた。
 このように、戦前の民俗学の歴史を語る上で日本青年館は欠くことのできない施設であるが、これまで研究では個々のイベントや施設について論じられることはあっても、それらが日本青年館で行われてきた意味について十分に論じられてきたとは言い難い。そこで今回、日本青年館での調査を実施した。なお、日本青年館は新国立競技場の建設にともない移転して2017年の夏に新しくオープンしたばかりであり、真新しい建物での調査となった。
 具体的には、日本青年館内の図書・資料センターが所蔵している、1920〜30年代における日本青年館の事務書類、および『日本青年新聞』、雑誌『青年』などの調査を行なった。当時の資料や新聞・雑誌記事を全体的に俯瞰しながら読み進めていったことにより、当時の日本青年館と青年を取り巻く社会状況が変化していく中で、民俗学に関する事業が実施され、やがて終焉していった過程をたどることができた。
 今回の調査により一定の成果を得ることができたが、今後のさらなる調査の必要性を感じさせるものとなった。

(文責:丸山泰明)

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2017年度 第1回研究会の開催

日程:2017年6月3日(土)~6月4日(日)
場所:神奈川大学日本常民文化研究所
参加者:丸山泰明、小熊誠、木村裕樹、小林光一郎、黛友明、室井康成

研究会(2日目)の光景

 第1回研究会を開催し、共同研究のメンバーが一堂に会した。
 6月3日には、この日初めて会うメンバーもいたため、まず顔合わせと自己紹介を行った。打ち解けたところで、代表の丸山泰明が「共同研究の射程-日本青年館というトポスと民俗学の形成」と題して研究発表を行った。
 翌日の6月4日には、小林光一郎が「アチック・ミューゼアムと大西伍一」と題し研究発表を行った。また、日本常民文化研究所に昨年寄贈された大西伍一資料の写真を閲覧した。日本常民文化研究所が所蔵するアチック写真の調査に長年たずさわってきた小林の知見を参考にしつつ、写真について各種の角度から検討した。
 2日間にわたる研究会における活発な議論を通して共有できた認識は、本共同研究は単に民俗学という一学問の歴史を問い直すにとどまらず、「青年の学問」として民俗学が期待され立ち上がっていった同時代の社会や政治・文化をめぐる状況を掘り下げていく作業にもなることである。そしてまた今回の研究会の何よりの成果は、メンバーそれぞれが腹蔵なく自分の意見を積極的に発言し、議論を建設的に組み上げ広げていく雰囲気が自然と形成されたことである。今後の活発な展開が大いに期待できる研究会となった。

(文責:丸山泰明)

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