共同研究

1-1.漁場利用の比較研究

海外調査(カナダBC州) 【 漁場利用とキャナリー(缶詰工場)の立地条件について① 】

日程: 2010年8月 11日(水) ~ 2010年8月 27日(金)
訪問先: カナダ国ブリティッシュ・コロンビア州
         カナダ日系博物館、ブリティッシュ・コロンビア大学、バンクーバー日本語学校など
実施者: 河原 典史

 カナダ日本人漁業史に関する研究では、ブリティッシュ・コロンビア州のフレーザー川河口におけるスティーブストンでのパイオニアへの賞賛や、マイノリティとしての異文化性が偏重されてきた。しかしながら、日本人漁業者の具体的な生業、特に漁場の利用については、必ずしも十分に説明されてこなかった。そこで、今回の調査では漁場の利用とキャナリー(缶詰工場)の各施設の立地状況について、資料収集や現地での観察、ならびに経験者へのインタビューを行なった。
 スティーブストンには、かつて操業していたフェニックス・キャナリーの諸施設が現存する。フレーザー川上の杭上家屋であった缶詰工場だけでなく、刺網漁業用の漁網乾燥場や巾着網の収納庫など、いくつかの漁業関連施設も残されている。また、ネイティブ・インディアンや日本人の住居も確認できる。Hut(小屋)やBunk(寝台舎)などと表記される前者に比べ、呼び寄せによって家族を形成する後者はCabin(住居)と呼ばれ、比較的設備が整っていた。日本人が活躍した1920年代のキャナリーの景観復原については、ブリティッシュ・コロンビア大学で閲覧・収集した大縮尺地図のFire Insurance Plan(火災保険図)を活用する予定である。
 生物学者であり、後に政治の世界へ転進した山本宣治(1889~1929)は、青年期のカナダ滞在時に日記を書き綴っている。この通称『山宣日記』には、1909年にスティーブストンでサケ刺網業に従事したようすが書き留められている。また、大日本水産会から発行された『大日本水産会報』や『水産界』などの報告書には、カナダを視察した技術専門員による漁場利用の説明や、漁具の図解なども掲載されている。これらの資料をもとに、戦前・戦後を通じてサケ漁業に従事した日本人経験者にインタビュー調査を試みた。今後も、漁場利用に関するかつての民俗知を、オーラルデータとして記録しなければならない。 (河原 典史)

フェニックス・キャナリー跡に立つ日系漁民像

【フェニックス・キャナリー跡に立つ日系漁民像(河原撮影)】




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調査(沖縄) 【 宮古海域におけるパヤオをめぐる漁場利用について 】

日程: 2010年7月10日(土)~ 13日(火)
訪問先: 沖縄県宮古農林水産振興センター、宮古島市役所、伊良部漁協
参加者: 若林 良和

 今回の調査目的は、昨年度の予備調査を踏まえて、沖縄県宮古島市内の行政機関や漁協において、パヤオをめぐる漁場利用の全体像を把握することである。得られた情報の主要内容・項目は次のとおりである。
      ①沖縄県、および、宮古海域におけるパヤオの設置状況、管理・利用規則、遊漁に関する規則など。
      ②宮古海域におけるパヤオ操業の現状と問題点、行政の漁業者対応など。
      ③伊良部地区のパヤオの設置経過、宮古海域における漁業者の利用実態、パヤオの管理・維持方法など。
 今回の調査でも、期待どおりの資料・情報を得られた。守秘義務を求められるデータが得られたことから、その取り扱いに留意し、データの整理と精査を行う。その上で、さらに補充調査を進め、当初の目的を完遂する予定である。
 また、第1回共同研究会で決定された宮古島市での共同調査(本年12月、本研究会メンバー全員で実施予定)の依頼を行い、その了解を得た。今後、若林が現地の窓口(宮古島市役所水産課)との間で、実施内容などの調整を行うことになった。  (若林 良和)

ニライ(鋼製表層型浮魚礁)の浮体 浮魚礁浮体の下に群がる魚・ツムブリ

【ニライ(鋼製表層型浮魚礁)の浮体(資料:沖縄県)】  【浮魚礁浮体の下に群がる魚・ツムブリ(資料:沖縄県)】

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平成22年度 第1回研究会

日程: 2010年7月4日(日)10:00~16:30
場所: 神奈川大学 日本常民文化研究所・国際常民文化研究機構
参加者: (発表) 若林良和、橋村修 (参加) 河原典史、越智信也、安室知、田和正孝

 本年度第1回の研究会を実施した。内容は「漬木漁とパヤオ」を共通テーマとし、橋村修「日本列島周辺における漬木(=パヤオ)漁業の漁場利用史」、若林良和「パヤオ(FDA)をめぐる漁場利用」の2つの研究が報告された。橋村報告では、漁具研究や漁業権研究を視野に入れて、漬木の名称と分布域が紹介されたのち、シイラ漬を中心に近代期から現代までにわたる漁業史的考察がなされた。また、沖縄本島国頭地方のシイラ漁業の実態も報告された。
 若林報告では、パヤオ研究の背景を回顧したのち、その中から資源管理や漁場紛争、パヤオをめぐる地域資源化の問題などを析出したのち、沖縄県および高知県のパヤオの現状が報告され、さらに自身の今夏のパヤオ研究の展望が示された。報告後の討論・質疑応答では、シイラ漬漁業の技術革新と明治・大正期の水産試験が果たした役割をいかに考えるか、漬木漁業とパヤオの関係性をどのような視点で考察すればよいか、さらには「シイラ塚」や「パヤオの日」などイベント化する、漁業の文化資源化と地域資源化についても活発な意見交換がなされた。実りある研究会であった。
(田和 正孝)

小型パヤオ

【沖縄県国頭村宜名真の伝統的な小型パヤオ】
当地では毎年10月から12月に、浮いているものに付くシイラの習性を利用して、海面に竹製の漬木を浮かべ、シイラが付いたところを曳縄で釣リあげるシイラ漁業が100年以上前からおこなわれている。(橋村 修)


「フーヌイューとパヤオ祭」のポスター

【2000年(平成12年)10月の沖縄県国頭村宜名真における「フーヌイューとパヤオ祭」のポスター】
当地では、伝統的な漁業でとれる魚のシイラ(方言でフーヌイュー)とその漁具であるパヤオを、地域おこしの文化資源とみなしている。 (橋村 修)


現代の「シイラ塚」

【現代の「シイラ塚」(沖縄県国頭村宜名真港)】
2008年、宜名真港に当地で獲れる「地魚」であるシイラのモニュメントが造られた。(橋村 修)


大型パヤオ

【沖縄・南方地域に浮かぶ大型パヤオ:「ニライ15号」(表層型鋼製パヤオ)】 提供:沖縄県


「パヤオの日まつり」

【パヤオに関する地域イベント:沖縄県宮古地域の「パヤオの日まつり」】 提供:沖縄県


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調査(関門海峡)

日程: 2010年3月3日(水)~ 3月6日(土)
訪問先: 山口県宇部市(宇部市地方市場)、下関市(唐戸市場)、福岡県福岡市(中央卸売市場)
実施者: 安室知

関門海峡(日本海と瀬戸内海の結節部)における沿岸漁業及び魚類流通に関する聞き取りを中心とした民俗調査 (安室 知)

下関市唐戸市場

写真: 下関市唐戸市場

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調査(沖縄)

日程: 2009年12月17日(木)~ 12月21日(月)
訪問先: 沖縄県那覇市:沖縄県庁水産課、沖縄県宮古島市:伊良部漁協、沖縄県庁宮古支庁など)
実施者: 若林良和

 沖縄県のパヤオ漁業の実態調査(沖縄全体の現状把握:沖縄県庁水産課、漁場整備課)(沖縄パヤオ発祥地の推移:伊良部漁業協同組合及び、関係漁業者)(宮古地方のパヤオ漁業の現状把握(沖縄県庁宮古支庁農林水産課) 
 日本におけるパヤオ(浮き魚礁)漁業の代表的な地域である沖縄県の現状把握を行った。具体的には、県全体のパヤオの設置経過、設置状況、漁獲実績、漁場利用などの基本的な情報を収集した上で、漁場利用の調整が推進されている宮古地区の現況を調査した。 (若林 良和)

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