宮城県気仙沼大島における遠洋漁業の歴史的変遷に関する研究—震災救出資料を中心として—
気仙沼大島地区は昔から漁船漁業が盛んで、その技術は近隣からも高く評価をされこの地方の漁業発展に大きく貢献してきた。明治期の和船時代といわれる時期には50人もの経営者があったが、大正初期の機械船導入後は減少し10人程度となった。機械船の操船には免状を必要することとなると、当地の人たちは独学で学習し船長、機関士の資格を取得しこの地方の漁船幹部職員として活躍した。平成3年には当地出身の漁船幹部職員は70人もあることが分かった。しかし、今日の鮪鰹の遠洋漁業はきびしい環境にあり、大島では平成10年ころから新規乗組員はなくなっている。こうしたことから年とともにうすれていく当地の遠洋漁業の歴史を解明し、記録して保存するためにこの研究課題を設定した。今回「大島漁業文庫」の開設により漁業資料が整備されたので、この研究の中で震災救出資料を中心に地区内の資料や体験記録なども集めて活用するとともにその保存と利用を検討することとした。
今日の遠洋漁業不振の時代に、これまでの漁業経営者や漁船員はどのようにして困難な状況を克服してきたのかを明らかにし、漁業関係者は勿論、地域の人々に遠洋漁業の振興を考える資料となることを期待している。
【研究・成果報告期間】2016年4月1日~2019年3月31日
第5回共同研究フォーラム 共同研究(奨励)成果発表会
神奈川大学日本常民文化研究所調査報告 第27集
(国際常民文化研究機構 共同研究[奨励]調査報告書)
氏名 | 専門 | 所属機関 | ||
---|---|---|---|---|
代表者 | 千葉 勝衛 | ちば かつえ | 漁業史 | 気仙沼大島漁協文庫の会 |
共同研究者 | 蝦名 裕一 | えびな ゆういち | 日本近世史 | 東北大学災害科学国際研究所 |
共同研究者 | 大川 啓 | おおかわ ひろむ | 日本近現代史 | 神奈川大学 |
共同研究者 | 小山 由紀子 | おやま ゆきこ | 地域史 | 気仙沼大島漁協文庫の会 |
共同研究者 | 川島 秀一 | かわしま しゅういち | 民俗学 | 東北大学災害科学国際研究所 |
共同研究者 | 菊田 榮四郎 | きくた えいしろう | 英米文学 | |
共同研究者 | 水上 忠夫 | みずかみ ただお | 漁業史 | 気仙沼大島漁協文庫の会 |