民具の機能分析に関する基礎的研究
本研究は「民具」すなわち伝統的な暮らしの必要から生み出され、世代を超えて使い続けられてきたモノについて、その多様なあり方を、その機能に注目して分類する方法の開拓を目的にした基礎的研究である。
わが国指定の重要有形民俗文化財や、博物館における民具の分類、あるいは、民具の調査・収集・収蔵・展示などではこれまで「用途別」「分野別」の分類が広く利用されてきた。しかし、地域ごとの民具の名称は方言で多様に呼ばれ、交錯しているため、標準的な名称を定めることが困難である。そして、形態や機能が類似する民具がその分類項目をこえて分散しているため、検索が難しく比較研究に支障がある。
そこで、本研究では「民具の機能とは何か」を改めて問い直し、長年の懸案であった「民具の機能分類」に挑戦したい。そのために、これまで蓄積されてきたすぐれた民具コレクションのデータを基礎資料として、個別の民具の「機能」を抽出し、整理する作業を通して、民具の構造や素材、形態との関係を見出すことを目指す。「民具の機能」に関する基本的なあり方を分析して、新たな「機能分類」の試案を提示するとともに、今後の検証の方法を示したい。
この研究が進展することで、日本全国に集積された膨大な民具コレクションの民具を、個別の名称によらず、用途や使用分野を横断的に検索する手立てが得られることが期待される。同時に言語を越えて海外の民具との比較研究や、出土資料の機能の同定などにも資する可能性を持つものと考えられる。
【研究・成果報告期間】2017年4月1日~2021年3月31日
国際常民文化研究叢書14
第8回共同研究フォーラム 国際常民文化研究機構・共同研究(一般)成果発表会
氏名 | 専門 | 所属機関 | ||
---|---|---|---|---|
代表者 | 神野 善治 | かみの よしはる | 民俗学・民具学 | 元武蔵野美術大学 |
共同研究者 | 佐野 賢治 | さの けんじ | 民俗学 | 神奈川大学 |
共同研究者 | 眞島 俊一 | まじま しゅんいち | 民具学・道具学・建築史学・造船史学 | テム研究所 |
共同研究者 | 山川 志典 | やまかわ ゆきのり | 民俗学・文化遺産学 | 静岡県富士山世界遺産 センター |
共同研究者 | 山田 昌久 | やまだ まさひさ | 出土木器研究・実験考古学 | 東京都立大学大学教育センター |
研究協力者 | 川野 和昭 | かわの かずあき | 民俗学 | 南方民俗文化研究所 |
研究協力者 | 佐々木 長生 | ささき たけお | 民俗学・民具学 | 福島県民俗学会 |
研究協力者 | 鍋田 尚子 | なべた なおこ | 民俗学 | ベトナム タンロン大学 |
研究協力者 | 宮本 八惠子 | みやもと やえこ | 民具学 | 日本民具学会 |
研究協力者 | 安ヵ川 恵子 | やすかがわ けいこ | 民俗・民具・歴史 | 富山民俗の会 |