共同研究

民具の機能分析に関する基礎的研究

ベトナム民具調査

日程:2018年2月4日(日)~8日(木)
調査先:ベトナム フエ周辺地域/フォック・ティク村、タン・トァン村、農業博物館(タントァン・ミュージアム)、 
 フエ科学大学、シン村
調査者:神野善治、佐野賢治、眞島俊一、山川志典、鍋田尚子

■ シン村の川岸に停泊中の家船を訪ねる  ■ 伝統的な屋根付き橋で休む老婦から話を聞く

フエ科学大学にて、少数民族の生活用具の資料にかこまれて担当教官たちと会談

 民具の機能に関する基礎的研究班として、日本の民具を機能面から分析する方法を模索する中で、比較資料としてベトナムの農村地帯の民具を訪ねて実際に見聞することをめざした。
 この目的を果たすべくベトナム中部の古都フエ郊外の農村部でいくつかの村を選んだが、実質3日の期間中に、主に3つの村を訪ねることが実現した。調査1日目となった2月5日には、ひとつ目の村としてフエ西北部(市街から車で1時間ほど)に位置するフォック・ティク村を訪ねる。フォン川の屈曲部にあって村全体が川で取り囲まれている特殊な環境。水田がなく、主に陶器づくりで繁栄してきた村だ。原材料や燃料そして製品の輸送は舟運を使って行われてきた。村長の案内で村内をめぐり、伝統的な住居と祠堂めぐる。民家では居間や台所などで用いられている民具類を調査。また、この地区の産業である陶器について、陶工レ・チョン・ジョン氏から話を聞く。独特の焼き締め技法の製造方法や製品の生活雑器について聞き、そのコレクションを調査させていただいた。
 調査第2日目(2月6日)は、雨になったが、国の文化財に指定されている伝統的な屋根付き橋があるタン・トァン村を訪ねた。村はフエの東方、車で30分ほどに位置する。文化財の橋の近くには、主に生鮮食料品を扱う市場があって、この時期は旧正月テトに供えられる花や品物が扱われて賑わっていた。橋からすぐに水田地帯が広がっており、用水路における漁撈活動や水田の農耕作業をボートで移動して垣間見たあと、橋の近くにある農業博物館(タントァン・ミュージアム)を見学。収蔵数は少ないが、この地域の生産用具がコンパクトに収集されていて見ごたえがあり、午後も再びこの資料館を訪ねて脱穀調整具、龍骨車などの使用方法について作業をみせていただき、農具や漁具などの計測調査も実現した。
 調査3日目は、もう帰国の日だが、午前中はフエ科学大学歴史学科の研究室を訪問。今後の調査への協力を依頼し、よい返事をいただいた。研究室では少数民族の漁具や運搬具などの収蔵資料も拝見できた。そのあと、三つ目の村としてフエの東郊外にあるシン村をフエ科学大学の教授に同行していただき訪問。河川に面した農村であるが、伝統版画の職人の家では、祭壇に祀る宗教的な版画と年中行事や遊びなどを題材にした民画などの工房を見学。その後、村内で主に民具を見てあるく。船上生活をする船を見ることもかなった。短期間の調査だったが、今後への展開の手がかりを得ることができた。

(文責:神野善治)

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共同研究間の交流調査

日程:2018年1月19日(金)~1月21日(日)
調査先:国立民族学博物館(大阪府)ほか
調査者:神野善治

 共同研究「戦前の渋沢水産史研究室の活動に関する調査研究」(代表 加藤幸治氏)が、2月20・21日に国立民族学博物館(大阪)において、同館所蔵の資料から、戦前のアチック時代の収集民具(宮本常一収集の民具など)を抽出して確認調査を行った。この調査に、民具についての研究を行っている神野班として参加させていただき、二つの共同研究の接点を確認し、今後の展開を考えるヒントを得ることになった。
 また、この大阪行きに合わせて、長年にわたり出土遺物と民具など文化財の保存技術を研究している奈良の元興寺文化財研究所の活動について同研究所員の角南聡一郎氏からヒアリングを行った。

(文責:神野善治)

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