共同研究

民具の機能分析に関する基礎的研究

在来単用スキの研究

日程:2018年5月16日(水)
調査先:東京農業大学「食と農」の博物館
調査者:安ヵ川恵子

東京農業大学「食と農」の博物館 古民家

 東京農業大学では、昭和53(1978)年から56(1981)年にかけて『東京農業大学図書館標本室所蔵古農機具類写真目録』第一集・第二集(以下、単に『写真目録』と略称する)を刊行しており、当時同大学に収集されていた古農具を2,000点あまりの写真と説明によって紹介している。本コレクションは、昭和40年代という早い時期に、しかも全国規模で集められたものであるため、今日では大変貴重なものである。
 実は昨年、岩手県奥州市の牛の博物館で行なわれた特別展、『「耕す」—犂をひく家畜の風景—』を見たが、そこに出展されているスキの多くは東京農業大学「食と農」の博物館のものであった。牛の博物館では、他館からの貴重な借用物ということでもあり、きっちりと固定して展示してあったので、触ることは勿論、スキ床の裏面などをひっくり返して見ることもできなかった。そこで、「食と農」の博物館へ調査依頼の電話をした折りに、担当の黒澤弥悦先生に、厚かましくも「触ってもいいですか」とおうかがいし、「よろしい」との許可を得て実施した調査である。
 私としては、収集からすでに半世紀以上が経過している資料群が、今日どのような状態で保存されているのかが、とても気になった。黒澤先生によると、1960年代はちゃんと予算もついて大事にされていたが、この頃では、保管場所さえ確保するのが難しいくらい、厳しい状況であるとのことであった。
 私の研究対象とする在来単用スキは、『写真目録』には38点掲載されている。そのうち今回実際に確認できたのは17点であった。黒澤先生のご厚意により、大学院生の方2人を情報交換および手伝いに手配してくださっていたおかげで、非常に能率良く、写真撮影と主な部分の採寸、状態観察などを実施できた。写真だけでは決してわからない、スキ先の状態や、スキ床がどこまでかの判断、舵棒を初めとする各部材の取り付け方など、時間の許す限り、心ゆくまで「もの」を触って、観察することができた。黒澤先生にひたすら感謝でした。
 『写真目録』が作製された時と比べて、数点については、ある部品が見当たらなかったものもあったが、虫食いもなく、おおむね保管状態は良好に思われた。ただし、せまいスペースに押し込められている感は否めない。酒造に関する民具や動物などの標本が美しく、十分なスペースをとって展示されているのに比べると、ちょっとさみしい気がした。

(文責:安ヵ川恵子)

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2018年度第1回共同研究会

日程:2018年5月14日(月)
会場:神奈川大学 国際常民文化研究機構 27号館A-201号室
参加者:神野善治、佐野賢治、眞島俊一、山川志典、佐々木長生、川野和昭、鍋田尚子、安ヵ川恵子、長井亜弓

ラオスで収集してきた民具の機能分類について語る川野氏

 2年目となる今期、第1回研究会では以下の内容について検討した。
①ベトナム民具調査報告(神野・山川)
②ラオスの民具の機能と形態(川野)
③九州民具調査報告(川野)
④ラオスのからだ機・宮本図解の紹介(神野)
⑤民具の機能分析に関する基礎的研究における個人研究について(山川)
⑥富山県の農具:呉西と呉東における犂分布の違いと機能(安ヵ川)
⑦民具の機能分類試案(神野)
⑧今年度の研究予定および個人テーマについて(各人)

(文責:神野善治)

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