共同研究

民具の機能分析に関する基礎的研究

2018年度第2回共同研究会

日程:2018年7月7日(土)10:30~17:00、7月8日(日)9:00~15:30(2日間)
会場: 神奈川大学横浜キャンパス3号館305 講堂(7月7日)
 神奈川大学国際常民文化研究機構27号館A-201号室(7月8日)
参加者:神野善治、佐野賢治、眞島俊一、山田昌久、山川志典、佐々木長生、川野和昭、鍋田尚子、長井亜弓

眞島氏の発表に聞き入る一同。桶製作用の板材(クレ)の実物を比較しながら、何をもって機能と考えるべきか、意見を交わした。

 研究会初日は、国際常民文化研究機構・第4回共同研究フォーラム「再考 アチック・ミューゼアムの水産史研究—“ハーモニアス・デヴェロップメント”の実像—」に参加。このフォーラムは、共同研究(一般)「戦前の渋沢水産史研究室の活動に関する調査研究」(代表:加藤幸治氏)の成果発表会として開催されたものだが、本研究班の参加は、昨年度1月に加藤氏らが行った国立民族学博物館での民具の熟覧調査に神野が単独でオブザーバーとして加わり、民具をテーマとする二つの共同研究の接点を確認したことが契機となっている。午後の「Ⅳ コメント・ディスカッション」では、神野、川野、佐々木からも、加藤氏らの研究に対するコメントを述べさせていただく機会を得、本研究会メンバーにとっても大いに刺激となった。
 2日目は、本研究会の本題である「民具の機能分析」のための検討会を開催。佐々木長生氏からは「棒の民具の機能分析研究の一試案」と題し、具体的な事例から「棒の機能」を整理し、分析する視点が提示された。また、眞島俊一氏からは、佐渡のある一軒の家で使用されていた「桶」を事例として、その多様なバリエーションと機能が例示された。最後に神野から「民具の基本形状と機能」について、基本形状として約20項目を抽出したリストの試案を提示。今後どのように具体例に落とし込んでいくべきかについて、話し合った。

(文責:神野善治)

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在来単用スキの研究

日程:2018年5月16日(水)
調査先:東京農業大学「食と農」の博物館
調査者:安ヵ川恵子

東京農業大学「食と農」の博物館 古民家

 東京農業大学では、昭和53(1978)年から56(1981)年にかけて『東京農業大学図書館標本室所蔵古農機具類写真目録』第一集・第二集(以下、単に『写真目録』と略称する)を刊行しており、当時同大学に収集されていた古農具を2,000点あまりの写真と説明によって紹介している。本コレクションは、昭和40年代という早い時期に、しかも全国規模で集められたものであるため、今日では大変貴重なものである。
 実は昨年、岩手県奥州市の牛の博物館で行なわれた特別展、『「耕す」—犂をひく家畜の風景—』を見たが、そこに出展されているスキの多くは東京農業大学「食と農」の博物館のものであった。牛の博物館では、他館からの貴重な借用物ということでもあり、きっちりと固定して展示してあったので、触ることは勿論、スキ床の裏面などをひっくり返して見ることもできなかった。そこで、「食と農」の博物館へ調査依頼の電話をした折りに、担当の黒澤弥悦先生に、厚かましくも「触ってもいいですか」とおうかがいし、「よろしい」との許可を得て実施した調査である。
 私としては、収集からすでに半世紀以上が経過している資料群が、今日どのような状態で保存されているのかが、とても気になった。黒澤先生によると、1960年代はちゃんと予算もついて大事にされていたが、この頃では、保管場所さえ確保するのが難しいくらい、厳しい状況であるとのことであった。
 私の研究対象とする在来単用スキは、『写真目録』には38点掲載されている。そのうち今回実際に確認できたのは17点であった。黒澤先生のご厚意により、大学院生の方2人を情報交換および手伝いに手配してくださっていたおかげで、非常に能率良く、写真撮影と主な部分の採寸、状態観察などを実施できた。写真だけでは決してわからない、スキ先の状態や、スキ床がどこまでかの判断、舵棒を初めとする各部材の取り付け方など、時間の許す限り、心ゆくまで「もの」を触って、観察することができた。黒澤先生にひたすら感謝でした。
 『写真目録』が作製された時と比べて、数点については、ある部品が見当たらなかったものもあったが、虫食いもなく、おおむね保管状態は良好に思われた。ただし、せまいスペースに押し込められている感は否めない。酒造に関する民具や動物などの標本が美しく、十分なスペースをとって展示されているのに比べると、ちょっとさみしい気がした。

(文責:安ヵ川恵子)

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2018年度第1回共同研究会

日程:2018年5月14日(月)
会場:神奈川大学 国際常民文化研究機構 27号館A-201号室
参加者:神野善治、佐野賢治、眞島俊一、山川志典、佐々木長生、川野和昭、鍋田尚子、安ヵ川恵子、長井亜弓

ラオスで収集してきた民具の機能分類について語る川野氏

 2年目となる今期、第1回研究会では以下の内容について検討した。
①ベトナム民具調査報告(神野・山川)
②ラオスの民具の機能と形態(川野)
③九州民具調査報告(川野)
④ラオスのからだ機・宮本図解の紹介(神野)
⑤民具の機能分析に関する基礎的研究における個人研究について(山川)
⑥富山県の農具:呉西と呉東における犂分布の違いと機能(安ヵ川)
⑦民具の機能分類試案(神野)
⑧今年度の研究予定および個人テーマについて(各人)

(文責:神野善治)

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