共同研究

戦前の渋沢水産史研究室の活動に関する調査研究

高知県室戸市における伊豆川浅吉関係の調査

日程:2017年3月21日(火)~3月23日(木)、3月30日(木)~31日(金)
調査先:高知県室戸市浮津地区、キラメッセ室戸「鯨館」、高知県立図書館、国立民族学博物館
調査者:加藤幸治

高知県室戸市浮津の風景

高知県室戸市浮津の風景

 北海道登別市での調査(3月14日~16日)と同様の目的で、国立民族学博物館でのアチック・ミューゼアム収集の民具の調査で見出された疑問点について調査を行うため、メンバーの加藤幸治は高知県室戸市にて調査を行った。
 日程は3月21日~23日、高知県室戸市および高知市に出張し、『土佐捕鯨史』をまとめた伊豆川浅吉が集中的に調査を行った室戸市浮津地区にて調査を行った。残念ながら、伊豆川浅吉の現地調査について知る人を探り当てるには至らなかったが、伊豆川の記述にみられる現地の捕鯨関連の施設や景観等について地域の鮮魚店の方の案内によって回ることができ、文献に対する理解が非常に深まった。また、室戸市内の道の駅「キラメッセ室戸」に新たに開設された捕鯨関連の普及施設である「鯨館」を見学したが、展示のなかには伊豆川浅吉の『土佐捕鯨史』とそれに関連する調査研究についての展示コーナーがあり、現地でも地域史の基本文献としての確固たる評価があることがうかがわれた。また、『室戸市史』や、郷土史研究家の桂井和雄の選集『仏トンボ去来』(高知新聞社、1977)など、伊豆川浅吉の研究をベースに展開された研究についても流れを把握することができた。
 最後に、3月30日および31日に、これらの調査をうけて国立民族学博物館にてアチック・ミューゼアムの民具コレクション関連および、文献関係の確認調査等を実施し、次年度のこの共同研究のプログラムについて検討する材料を得た。

(文責:加藤幸治)

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北海道登別市における佐藤三次郎関係の調査

日程:2017年3月14日(火)~3月16日(木)
調査先:北海道登別市幌別地区、登別市郷土資料館、登別市立図書館
調査者:加藤幸治

北海道登別市幌別のかつての漁村部の風景

北海道登別市幌別のかつての漁村部の風景

 国立民族学博物館で1月20日~23日に実施した、同館が所蔵するアチック・ミューゼアム収集の民具の調査では、水産史研究室に中心的に関わっていた同人や、アチック・ミューゼアムから水産史関連の報告書を出版した人物が寄贈した民具の熟覧を行った。これで明らかになったことや、新たに見出された疑問点について調査を行うため、メンバーの加藤幸治は北海道登別市にて調査を行った。
 3月14日~16日に北海道登別市での調査を行った。登別市出身で、アチック・ミューゼアムからもアイヌ関連の報告書を出している知里真志保は、地元の若者佐藤三次郎とともに漁業関係の調査を指導し、その成果が『北海道幌別漁村生活誌』(アチック・ミューゼアム、1938年)である。調査は、登別市郷土資料館および登別市立図書館での基本的な情報収集から始めた。郷土資料館では、国立民族学博物館に所蔵されている佐藤三次郎収集の漁具と同様の資料が収集され、展示室に収蔵展示されていた。それらの民具を使用している様子の参考写真等もあり、漁具の理解を深めることができた。また昨年、郷土資料館が市民から寄贈された資料の速報的な展示も行われていたが、そこに偶然、知里真志保と佐藤三次郎が写っている写真を複数見つけることができた。これらは『北海道幌別漁村生活誌』の口絵写真の前後に撮られたものであることが確実なものであり、調査の経緯を知るうえで、また知里真志保との関係を考える上で非常に貴重な資料である。改めて熟覧したい資料である。市立図書館には、『登別市史』を編纂する際に集めた文献等の保管室があり、そこでの資料閲覧を許可していただいた。この調査のあと、登別市幌別の集落からかつての漁場を歩き、佐藤三次郎が描いたものの痕跡や漁業関連の遺構等について踏査を行うと同時に、若干の聞書きを行い戦前の漁業の様子についてうかがった。ちなみに、宮本常一は佐藤三次郎と彼の著した民俗誌について『私の学んだ人』(著作集51巻、未來社、2012に収録)のなかで触れている。

(文責:加藤幸治)

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