共同研究

戦前の渋沢水産史研究室の活動に関する調査研究

共同研究の成果報告会と報告書についての打合せおよび資料調査

日程:2018年3月12日(月)~3月13日(火)
調査先:神奈川大学日本常民文化研究所、味の素食の文化センター図書室
参加者:加藤幸治、安室知、磯本宏紀、星洋和、佐藤智敬(3月12日)、加藤幸治(3月13日)

 2018年3月12日、共同研究(加藤班)では、神奈川大学日本常民文化研究所において、共同研究の最終総括に向けた研究会を行った。
 本共同研究の最終成果報告会のシンポジウムを2018年7月7日に予定している(会場:神奈川大学)。報告会は、各メンバーの調査成果報告で構成し、その内容は報告書にも反映していくことを共有した。
 また、報告書では、本共同研究の調査の過程で発見したり、整理作業を行った未発表資料について掲載することになっており、その段取りについても話し合った。
 終了後、参加メンバーの一部は、日本常民文化研究所の所蔵資料の熟覧調査を行った。また、加藤は翌日、味の素食の文化センターの図書室にて、鯨肉食関連の図書等についての調査を行い、伊豆川浅吉らによるアチック・ミューゼアムでの往復はがきを用いた鯨肉食調査のデータの理解に資する文献からの情報を得た。

(文責:加藤幸治)

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西海捕鯨および関門捕鯨における捕鯨遺構と伊豆川浅吉の研究

日程:2018年3月7日(水)~9日(金)、3月21日(水)~23日(金)
調査先:長崎県・福江島・中通島(五島列島各所)、山口県下関市(市内港湾部および市立しものせき水族館)
調査者:加藤幸治

福江島・荒川港の鯨骨ゲートが近代捕鯨の名残りとなっている(加藤幸治撮影)

近世の捕鯨遺構として保存されている柏港のカグラサン跡(福江島・三井楽)(加藤幸治撮影)

 2018年3月7~9日、3月21~23日、共同研究「戦前の渋沢水産史研究室の活動に関する調査研究」では、加藤幸治が西海捕鯨および、関門捕鯨に関する現地調査を実施した。
 渋沢水産史研究室においては、伊豆川浅吉が室戸の土佐沖での捕鯨についての詳細な調査報告書が刊行された。ひとつは地元の協力者である吉岡高吉との文献資料調査の成果であり、浮津地区での資料についてはこの地域の漁業研究の基礎資料ともなっている。また、伊豆川自身も日本常民文化研究所彙報において『土佐捕鯨史』をまとめ、その後も捕鯨に関する著述を遺した。
 アチック・ミューゼアムでの伊豆川浅吉の調査成果はほぼ土佐のものに限られる。一方、調査としては紀伊・太地の捕鯨に関する流通関係の調査として、往復はがきを用いた鯨肉食のアンケート調査を実施しており、その概報までは提出している。その後、伊豆川は紀伊の捕鯨については資料を戦災で失うが、調査としては、太地の紀伊半島沖の捕鯨、五島列島と生月島、対馬等を拠点とした西海捕鯨、下関や長門を拠点とした捕鯨、三陸沖の捕鯨等に調査の範囲を拡大するつもりであったことはいくつかの文献から読み取れる。今回の調査はその概要を理解するための現地調査であった。
 3月7~9日の五島列島での調査は、福江島における捕鯨業の関連遺構を巡検し、現地の市町村等の図書室や役場の書庫、資料館等において文献を中心とした調査を実施した。具体的には、五島観光歴史資料館、岐宿資料展示室、富江歴史民俗資料館ほか、三井楽町柏のカグラサン跡などの現地調査を実施した。また、中通島での調査は船が欠航するなどのアクシデントがあり、役場支所に今後の調査への協力をお願いする程度の活動しかできなかった。
 3月21~23日の調査では、当初は対馬での調査を計画していたが、飛行機が欠航となったことで急遽調査先を下関に変更し、関門捕鯨の調査を実施した。大洋漁業の発祥の地として捕鯨等の企業城下町として栄えた下関における捕鯨と鯨肉食文化等について現地調査を行った。また、市立しものせき水族館“海響館”では、鯨類の研究および捕鯨関連の資料についてヒアリングを行い、同館で展示されている世界でも希少なシロナガスクジラの全身骨格標本について説明を受けた。その折、地元で捕鯨業の歴史の調査研究を行っている方々の紹介を受け、今後の調査への協力をお願いした。
 一連の調査では、悪天候から当初計画していた調査ができなかったり、予定の変更を余儀なくされたりすることがあったが、思わぬかたちで地元研究者と交流できたので、本共同研究の成果も共有しながら、研究を進めていきたい。

(文責:加藤幸治)

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