共同研究

アチック・ミューゼアムの調査活動に関する基礎研究 「隠岐」調査の検証・分析と民俗学的考察

国立国会図書館における調査報告

日程:2016年3月7日(月)
調査先:国立国会図書館
調査者:小林光一郎

 国立国会図書館において、来年度予定である隠岐島前地域における調査において必要となるであろうアチックの第二次隠岐調査の主な調査対象の一つであった「イトマン」の出漁に関連する事項を調べるため、『糸満市史』を閲覧した。『糸満市史』の生業に関する記載では、隠岐における県外(沖縄県外)出漁の関連項目において、糸満の大城カメ(亀)や隠岐の安達和太郎の記述や、イトマンの漁における民俗語彙など調査前に知っておくべき情報を手に入れることができた。

(文責:小林光一郎)

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島根半島における調査報告

日程:2016年2月1日(月)~2月2日(火)
調査先:鳥取県米子市、境港市、島根県松江市美保関町
参加者:小林光一郎、樫村賢二、木村裕樹、永井美穂、羽毛田智幸

 鳥取県境港市および島根県松江市八束町(大根島)・美保関町において、アチック・ミューゼアムの隠岐調査に関わる景観調査、ならびにアチック写真にて写された現地同定調査を行った。アチック写真において「寺澤」とされていた社が写る写真では、現地名は二子であり、中海護岸整備によって現在の沿岸より2、3メートル内地に入った場所にあることが分かり、隣の集落である寺津においては、写真に写る石宮と似た社を見ることもできた。また、今回の島根半島における調査は第一次隠岐調査の帰途にて桜田勝徳が一人で行った調査の経路にあたるのだが、当時の交通事情や桜田自身が持っていたであろう情報量などを考慮しながら当時の調査行程を追認・再考できたことは、班員各員にとっても有益な調査となった。

(写真左)大根島、寺津にある石宮 (右)美保関の漁港
(文責:小林光一郎)

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第2回研究会ならびに渋沢史料館における資料調査報告

日程:2015年11月28日(土)~11月29日(日)
調査先:日本常民文化研究所、渋沢史料館
参加者:小林光一郎、木村裕樹、永井美穂、羽毛田智幸(11月29日)、前田禎彦(11月28日)

11月28日 資料調査の様子(於常民研)

11月29日 研究会の様子(於渋沢史料館)

11月28日(土)13:30~18:00
資料調査(於神奈川大学日本常民文化研究所)
日本常民文化研究所(以下、常民研)において、小林、木村、永井、前田は、常民研所蔵の漁業制度資料筆写稿本より隠岐に関係すると想定された島根県の筆写稿本(コピー)の閲覧並びに撮影作業を行った。第二次隠岐調査の報告書作成において使用された可能性のある古文書の有無としては、第一次・第二次隠岐調査の双方ともに直接関わるような情報は確認することはできなかった。しかし、隠岐における漁業等の民俗語彙や漁獲量・モノの動き等の歴史知識の確認という点では有益な資料調査となった。

11月29日(日)10:30~13:00
第2回研究会・資料調査(於渋沢史料館)
 本研究における第2回の研究会を渋沢史料館において、小林、木村、永井、羽毛田は、今年度に行った宮本記念財団における資料調査において宮本瑞夫先生より情報提供された昭和9年5月の隠岐調査における宮本馨太郎(以下、馨太郎)のメモの翻刻作業に伴う読み合わせを行った。また、今後の国立民族学博物館(以下、民博)調査の日程調整や作業の確認も行った。馨太郎のメモからは、日程や調査行程、馨太郎自身の研究視点など多くのことがわかり、また、アチック写真や民博所蔵民具目録との照合から、その詳細が判明する事例もいくつか発見することができ、アチックに倣った各員が総合的な視野を持って資料に臨むことができた研究会となった。

(文責:小林光一郎)

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隠岐島後地域における資料調査報告

日程:2015年9月2日(水)~9月4日(金)
調査先:島根県隠岐郡隠岐、隠岐郷土館
参加者:小林光一郎、樫村賢二、木村裕樹、永井美穂、羽毛田智幸

 隠岐島後地域において、小林、樫村、木村、永井、羽毛田の5人は、隠岐郷土館における国指定重要文化財・県指定重要文化財の民具の撮影、また、アチック写真における撮影地の同定と経年変化、ならびに周辺地域の景観等の観察調査を行った。
 隠岐郷土館における調査では、実物資料から、アチック写真やアチックフィルムに写る民具の地域名称や使用法などの確認を行い、また資料台帳を見せていただいたことでその裏付け調査も行うことができた。
 アチック写真における撮影地の同定等の観察調査では、山の稜線や水路跡など、写真に写る少ない情報から可能な限りの同定を行い、予測されていた戦後の高度経済成長期における景観変化を目の当たりにした。隠岐の島町においては道や橋、漁業施設周辺等のインフラの進展や、場所によっては観光産業化における港湾施設等の変化など、戦前期であったアチック写真の頃の様相からの変化を記録することができた。
 限りある少ない調査期間の中で、上記のような隠岐郷土館の民具資料調査と島内の観察調査は、いずれも成果があったといえる。しかし、日程的な問題から、役場や図書館等における資料調査や地域住民に対する聞き書き調査を行うことができず、悔いが残る結果となった感も否めず、次回の島前地域における調査へと課題を残すことになった。
 最後に、当調査に関して様々な便宜を図っていただいた隠岐の島町教育委員会の中林氏、野津氏、岩崎氏の御三方からは、報告書の提示や情報など忙しい時間を割いてお付き合いいただいた。末筆ながらここに感謝の辞を述べるとともに、日本常民文化研究所から寄贈した写真集『アチック写真vol.6』の有効活用を期待致します。

[上段写真左から/隠岐の島町布施の入江にて、隠岐の島町釜、佐々木家にて]

(文責:小林光一郎)

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宮本記念財団における資料調査報告

日程:2015年7月1日(水)10:30~17:00
調査先:宮本記念財団
参加者:小林光一郎、永井美穂、羽毛田智幸

財団法人宮本記念財団にて(中央、宮本瑞夫氏)

 財団法人宮本記念財団において、小林、永井、羽毛田の3人は、宮本瑞夫氏による資料説明や宮本馨太郎について御教授いただいた。具体的な資料としては、第一次隠岐調査における馨太郎の手帳(メモ)、また、同調査において使用したパテベビー(9.5フィルムカメラ)を閲覧し、昭和9年の馨太郎撮影の9.5ミリフィルムのデジタル化した映像資料も閲覧した。中でも今回の資料調査では馨太郎自筆の手帳においてより詳細な調査の行程やその様子の一端がうかがえ、実のある資料調査となった。今後、この手帳は報告書における資料編との兼ね合いで翻刻を視野に検討を行うつもりである。また、宮本瑞夫氏の御厚意で、第一次隠岐調査ではまだ使用していなかったが後のアチックの調査において多く使用されたスチールカメラ(ローライコード)や、財団所蔵のアチックに関わる諸資料も拝見することが出来た。宮本瑞夫氏は学史的研究においてアチックや馨太郎の足跡をきちんと押さえる必要性を説かれ、今後、我々もそれに応えるべく研究の意義を再認識した資料調査となった。

(文責:小林光一郎)

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第1回研究会ならびに渋沢史料館における資料調査報告

日程:2015年5月23日(土)~5月24日(日)
場所:神奈川大学日本常民文化研究所、渋沢史料館
参加者:小林光一郎、樫村賢二、木村裕樹、永井美穂、羽毛田智幸

5月23日(土)13:30~18:00
第1回研究会・資料調査(於神奈川大学日本常民文化研究所)

第1回研究会の様子(於常民研)

 本研究における第1回の研究会を神奈川大学日本常民文化研究所(以下、常民研)において開催した。この日は、事務手続きについての打ち合わせや、常民研所員として参加する前田禎彦氏も加えた顔合わせを行い、研究代表である小林から、研究にあたり、当該調査対象であるアチックの隠岐調査(第一次・第二次)の概要説明ならびに研究においてテキストに使用する『アチック写真vol.6』の説明を行い、常民研所蔵資料である16ミリ「隠岐」の説明と上映も併せて行った。また、今後の調査日程並びに研究編に向けての研究員間における確認を行うと共に、常民研にて隠岐における民俗調査間系の報告書や、隠岐調査関連のアチック叢書・ノート等の資料調査を行った。研究員それぞれの見識ある意見交換によって、今後の調査における研究視点がある程度提示されたと思われる。例えば、静止画・動画における漁法の確認や当該地域の漁具における使用法、製作情報など、その被写体における情報を複数人員で見ることによる多面的な視点の可能性を確認するに至り、各員が総合的な視野を持って調査に臨むことを自覚するに至った研究会となった。

5月24日(日)10:30~13:00
資料調査(於渋沢史料館)

資料調査の様子(於渋沢史料館)

 前日の第1回研究会をうけた翌日、渋沢史料館において、渋沢敬三の手帳やアチックで使用された16ミリフィルムカメラ、渋沢史料館所蔵16ミリフィルム並びにそのフィルムをデジタル化した映像資料の閲覧を行った。調査において使用されたカメラやフィルムといった実物資料から、その使用法やフィルムの現像日等、隠岐の第一次・第二次調査の詳細の一部が判明した。概要については報告書にて詳述することになるが、たとえば、第二次調査では、撮影したフィルムは調査期間中にアチックへと送られ、調査終了後、アチックへ帰還するとすぐに上映できる状況になされていた。この手際の良さは、当時の交通網といった時代背景における状況を踏まえた計算の上に立脚しており、当該調査者や、それをサポートしたアチックの研究体制がわかる事例であった。

(文責:小林光一郎)

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