共同研究

アチック・ミューゼアムの調査活動に関する基礎研究 「隠岐」調査の検証・分析と民俗学的考察

隠岐島前地域における調査報告

日程:2016年11月27日(日) ~11月30日(水)
調査先:島根県隠岐郡西ノ島町・海士町(西ノ島・中ノ島)、西ノ島ふるさと館
参加者:小林光一郎、樫村賢二、木村裕樹、永井美穂
自主参加:丸山泰明(天理大学准教授。元神奈川大学21世紀COEプログラムCOE研究員/PD)

海士町に残るイモグラ跡(2016年11月28日) 西ノ島ふるさと館所蔵資料 ウキ(2016年11月29日)

■ 海士町に残るイモグラ跡(2016年11月28日) ・西ノ島ふるさと館所蔵資料 ウキ(2016年11月29日)

 前回の調査に引き続き、隠岐島前西ノ島・中ノ島地域において補足調査を行った。小林と樫村は中ノ島において景観調査を行った後に焼火神社神主である松浦氏から聞き書き調査を行い、木村と永井は、三度において、三度の方々に聞き書き調査を行い、それぞれアチック写真に写る被写体についての確認や撮影地の同定などを行った。また調査参加者は各員とも、別府港横にある西ノ島ふるさと館収蔵庫にて、観光協会会長松浦氏のご協力の下、同館所蔵の安達家の民具の確認も行った。
 西ノ島ふるさと館における所蔵資料調査では、漁業家であった安達家の様子を垣間見ることができた。たとえば、銭枡は墨書にて「嘉永二年」の年号と「金子拾両」との文字が記載され、当時の隆盛振りが窺え、また、延縄漁で使用した樽製の浮きなど、漁業家として組織化されていた安達家の漁業の様子を伝える資料を確認することができ、安達家を振り返るまとめの調査となった。
 今回の調査にて、調査員による共同調査は最後となり、各調査員共にこれまでの成果をまとめる段階に入ることになる。

(文責:小林光一郎)

進捗状況および成果報告一覧はこちら

隠岐島前地域における調査報告

日程:2016年9月12日(月)~9月14日(水)
調査先:島根県隠岐郡西ノ島町
参加者:小林光一郎、樫村賢二、木村裕樹、永井美穂、羽毛田智幸
自主参加:丸山泰明(天理大学准教授。元神奈川大学21世紀COEプログラムCOE研究員/PD)

安達家前から望む入り江(2016年9月13日)

安達家前から望む入り江(2016年9月13日)

安達家に残るなまこ壁(2016年9月13日)

安達家に残るなまこ壁(2016年9月13日)

 隠岐島前西ノ島地域において、小林と樫村は安達和太郎の子孫である美田村船越の安達和良家において聞き書き調査を、また、木村、永井、羽毛田と、自主参加して下さった天理大学の丸山泰明は、国賀地域・三度・由良・浦郷において、アチック写真における撮影地の同定と経年変化、ならびに周辺地域の景観等の観察調査を行った。また調査参加者は各員とも、別府港横にある隠岐西ノ島ふるさと館にて、同館展示の民具の観覧も行い、少ない調査時間を有効に活用した。
 アチックミューゼアム(以下、アチック)の隠岐第二次調査の調査先であり同調査の宿でもあった安達家での調査では、当時の安達家の隆盛振りを垣間見ることができた。たとえば、なまこ壁や鏝絵、壁を覆う鉄版など、アチックが訪れた以前に和太郎によって改築(昭和2年)されたままの部分を残しており、アチックのメンバーも見たであろう場景を追体験することができた。和良氏からは、安達家の漁業経営以外にも、和太郎・武夫父子の人となりや、イトマンの人々が泊まっていたバンヤ(番屋)や、アミゴヤ(網小屋)・コオリゴヤ(氷小屋)の跡地、集落の集合墓地におけるスヤなど、かつての安達家の様子やムラの様子を聞くことができた。
 アチック写真における撮影地の同定等の観察調査では、山の稜線や岸壁、港湾の埋め立て跡など、写真に写る少ない情報から可能な限りの同定を行い、アチック写真の当時の様相からの変化を記録することができた。
 今回の調査は3日間という調査日程の中で、実質1日の調査日(移動日が2日)というかなりタイトな調査予定であったものの、それなりに成果をあげたといえるが、日程的な問題からくる様々な調査不足分を、次回の隠岐地域における調査においてどのように解消していくかという課題を残す調査ともなった。

(文責:小林光一郎)

進捗状況および成果報告一覧はこちら

国立民族学博物館調査

日程:2016年6月13日(月)13:30~17:00、6月14日(火)10:00~16:00
調査先:国立民族学博物館
参加者:樫村賢二、木村裕樹、小林光一郎、永井美穂、羽毛田智幸

国立民族学博物館における調査風景

国立民族学博物館における調査風景

 アチックの隠岐調査に関連する民具資料を国立民族学博物館にて行った。事前に国立民族学博物館のデータベースにより選別していた隠岐関係の民具(57点)を2日に分けて実見し、材質や大きさ、使用度合い、付随情報などの確認を行った。第一次隠岐調査では薩南十島調査の帰路における調査であり、いわゆるラピッドサーベイであったためか、購入したような未使用と考えられる資料があるのと対照的に、第二次隠岐調査に関したと考えられる資料では、使用品が多いという傾向が散見された。また、第二次調査後と考えられる資料もいくつか存在し、調査後に現地隠岐から送った、あるいは持ち込まれたであろう資料の確認も行うことができた。本年度は、第二次隠岐調査の調査地であった島前地域の調査を行うが、調査前に知り得ておくべき情報や、資料の収集傾向などから、第二次隠岐調査における調査対象の優先度などが垣間見える結果となり、第二次隠岐調査の内容が、より具体性を持って認識される結果となる資料調査となった。

(文責:小林光一郎)

進捗状況および成果報告一覧はこちら

常民研ならびに渋沢史料館における資料調査報告

日程:2016年5月21日(土)~5月22日(日)
調査先:神奈川大学日本常民文化研究所、渋沢史料館
参加者:樫村賢二、小林光一郎、羽毛田智幸(5月21日~22日)、前田禎彦(5月21日)

資料調査(於神奈川大学日本常民文化研究所)

資料調査(於神奈川大学日本常民文化研究所)

資料調査(於渋沢史料館)

資料調査(於渋沢史料館)

・2016年5月21日(土)13:30~18:00
 資料調査(於神奈川大学日本常民文化研究所) 
 本年度の研究計画についての打ち合わせと資料調査を神奈川大学日本常民文化研究所にて行った。この日は、事務局から事務手続きや報告書についての打ち合わせの後、年度計画と日程調整、研究編に向けての研究員間における確認等を行った。本年度は第二次隠岐調査における調査地であった島前地域の調査が控えているため、当該地域に関する民俗調査関係の報告書や論考の閲覧、祭魚洞文庫目録をもとにアチックで所蔵されていた隠岐に関する資料の照会作業などを行った。第一次隠岐調査後の第二次隠岐調査では祭魚洞文庫所蔵資料である昭和7年刊の『概観島前地誌』をはじめとした当該地域の各種報告書や論考を予習した上で調査を行った可能性が高いことが判明し、アチック写真においても、上記の事前情報で得ることができる情報(含む写真)以外を被写体として撮影している傾向も確認できた。

・2016年5月22日(日)10:30~13:00
 資料調査(於渋沢史料館)
 前日の資料調査をうけ、渋沢史料館において、昨年度も閲覧した渋沢史料館所蔵の映像資料の閲覧を行った。アチック写真における撮影傾向と同様に、動画撮影においてもその多くを事前の報告書では得ることのできない映像(例えば糸満のマワシタカアミ漁など)を中心に撮影されていることが確認できた。

(文責:小林光一郎)

進捗状況および成果報告一覧はこちら

  • WWW を検索
  • サイト内を検索

ページトップ

神奈川大学
国際常民文化研究機構