共同研究

宮城県気仙沼大島における遠洋漁業の歴史的変遷に関する研究—震災救出資料を中心として—

平成29(2017)年度 第7回定例研究会報告

日程:2017年11月19日(日) 午前10時~午後3時
場所:大島漁協文庫・大島公民館
参加者:千葉勝衛、水上忠夫、川島秀一、蝦名裕一、大川啓

大島漁協文庫にて

大島公民館にて

1、震災救出資料の利用について(漁協文庫)
(1)漁業組合資料
・大島遠洋漁業者組合資料(昭和21~24年)
設立動機、会員、役員、活動内容など関係文書綴調査
・船舶職員養成講習会と試験資料(昭和24~27年)
 開講計画、受講生、試験成績など調査
(2)旧大島村役場資料
・明治時代の和船経営者の財産処分状況
・役場文書「土地異動簿」の調査
(3)『菅原熊治郎文書集(上・下)』
・菅原村長の船員対策と指導の内容
 船員給与の改善を提案—歩合制から月給制に
(4)外畑家文書
・同家文書目録第3~7集は震災後に発見された文書
・目下総合目録を作成中
・明治15~26年役場文書に和船鰹船の実態調査がある。

2、共同研究「大島遠洋漁業史」の研究紀要のまとめについて
(1)はじめに—4p
・大島地区の概要
・研究課題と研究分担
・研究目的と期待される効果
・大島の漁業資料
 漁協文庫、旧役場文書、外畑家文書、大向家文書
・気仙沼地区漁業資料
 気仙沼市史、昭和26年鰹漁実態調査
(2)和船時代(明治初~45年)—50p
・明治初年「奥羽日日新聞」の大島の漁業と景観、漁業慣習
・大島における和船経営者
 船主経営—駒形、下ノ平、大向、外畑など
 船元経営—松小山、合柄、熊野前
・和船の構造と造船—船大工の聞き取り
・和船の職制と操船、操業
・大要害家の経営の実態—大要害家目録から水揚帳の分析と検討
・外畑家の経営—和船の貸出しと運上金など
・和船時代の漁船遭難、津波
・和船のしきたりと漁業習俗—大漁唄い上げ
(3)機械船時代(大正元~昭和20年)—50p
・大島における機械船1号—祥海丸(役場資料の大正元年~10年を活用して)
・機械船の経営者たち
 旧地主層の漁船経営からの撤退と新経営者の勃興(遠洋漁業奨励法助成を受けた新人たち、大興丸・金比羅丸など)
・菅原村長の漁船員対策
 助成金による造船奨励、船舶職員講習会、免状試験への奨励と助成金の支給
 漁船員給与の改善—前借り、歩合制度の廃止と給与制の提言
・共栄丸の経営—中央水産研究所所蔵資料の調査
・大新丸の経営—大島漁協文庫所蔵資料の調査
・徴用船—徴用船帰還船員の手記を中心に、大本営戦闘日誌など
(4)戦後の漁業(昭和20~現在)—50p
・マッカーサーラインと漁船漁業
・大島遠洋漁業者組合について
・船舶職員養成講習会、海技試験(漁協文庫資料を活用して)
・漁船員賃金不払い問題と全日海加入
・宝幸丸遭難事件と遺族年金、補償交渉—役場文書より
・戦後のカツオ漁業実態調査報告書より(気仙沼、大島、唐桑の船員の実態)
・マグロ専用船時代(漁場と航海日数、漁獲量について)
・200海里時代の遠洋漁業
 漁場拡大と長期航海、時差出航船と回航員、仲積船
 マグロ資源の国際管理、便宜置籍船問題、漁船員不足時代—外国人船員混乗問題
・「船頭への道」—船頭からの聞き取りを中心に
・大島小学校、中学校の「将来の希望」の変遷、船頭の職制と段階
・第10海形丸の遭難
・大島の遠洋漁船経営者たち
・大島海友会の活動
(5)まとめ—2p、計170p
・研究の経過と反省を中心に書く予定
・気仙沼、大島の遠洋漁業の将来像について結論を出すことは不可能な実情である。

(文責:千葉勝衛)

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