昭和戦前期の青年層における民俗学の受容・活用についての研究
埼玉県本庄市での調査
日程:2018年3月19日(月)~3月20日(火)
調査先:埼玉県本庄市旧金屋村区域
調査者:丸山泰明
金屋村青年団が製作し、大日本聯合青年団郷土資料陳列所に展示されていた模型(『建築世界』第29巻第2号、1935年より)
現在の本庄市にかつて存在した金屋村の若者たちで構成されていた金屋村青年団の1930年代の活動について調査を実施した。
戦前の日本青年館や大日本聯合青年団の資料を調べていると、1930年代には地域社会における生業の発展や生活の更生に熱心な地方の青年や青年団がいたことがわかる。埼玉県の金屋村青年団もその一つである。金屋村青年団長の指導のもと、とある金屋村農事研究会会員の家を、現在および将来の農家経営に合うように改造して生活・生業を営んでいた。さらに金屋村青年団の団員たちはこの家の模型を製作し、現在および将来の農家経営の模範的実例として展示していた。1937年の初夏には、日本青年館に嘱託として勤務していた大西伍一と、武蔵高等工科学校教授である民家研究者の蔵田周忠は金屋村を訪ね、前記の民家とともに、同村宮内地区の民家の調査も実施している。
今回の調査では、本庄市立図書館および同図書館児玉分館において文献調査を行った。また、民家模型のモデルとなり、大西や蔵田が民家調査に訪れた家について追跡するフィールドワークを行った。
(文責:丸山泰明)
東京都市大学図書館蔵田周忠文庫の調査
日程:2018年3月8日(木)~3月9日(金)
調査先:東京都市大学図書館
調査者:丸山泰明、小林光一郎、黛友明、室井康成
東京都市大学図書館
東京都市大学図書館蔵田周忠文庫の収蔵資料について調査を行なった。蔵田周忠(1895〜1966)は建築作品の設計を手がけるとともに、武蔵高等工科学校とその後身である武蔵工業大学で教鞭をとった建築家である。表現主義やモダニズムの作品を設計する一方で、早稲田大学教授であった今和次郎に師事して民家研究に取り組んだ。その蔵書および資料は、武蔵工業大学を前身校とする東京都市大学の図書館にて収蔵・公開されている。
今回の調査では主に1930〜40年代における民俗学に関する資料や書簡等について調査し、特に民家研究会や大日本連合青年団郷土資料陳列所・郷土芸能に関する資料を精査した。また、これらの資料について写真撮影を行った。
(文責:丸山泰明)