昭和戦前期の青年層における民俗学の受容・活用についての研究
日本青年館での調査
日程:2018年8月21日(火)~8月23日(木)
調査先:日本青年館
調査者:丸山泰明、木村裕樹、小林光一郎、黛友明、室井康成
調査風景
3日間にわたって、日本青年館の図書・資料センターにて昭和戦前期の資料について文献調査を行った。特に『日本青年新聞』および『青年カード』について集中的に調査し、これらの出版物が全国の青年に民俗学・郷土研究の知識を普及するメディアとしての役割を果たしていたことを確認した。特に『日本青年新聞』については、民俗学や郷土研究に関連する記事についてリスト化する作業をすすめた。今後、調査をさらに継続・発展していくことにより、当時の青年層が自らの暮らす「郷土」を捉えるにあたって、民俗学や郷土研究の言葉や概念・方法がどのように用意されていたのかを明らかにできると考えられる。また、この他にも、郷土舞踊と民謡の会などのイベントや、田澤義鋪の人と思想について調査を行った。
(文責:丸山泰明)
日本青年館での調査
日程:2018年6月4日(月)
調査先:日本青年館
調査者:丸山泰明、小林光一郎
東京の明治神宮外苑に隣接する日本青年館において調査を実施した。昨年8月の調査に続く今回の調査では、主に1930年代の事務書類や、『日本青年新聞』などの出版物を閲覧した。『日本青年新聞』については、柳田國男や小寺融吉などの民俗文化・民俗芸能に関する知識人の文章に着目して調べた。今後より調査を進め、記事目録の作成に結びつけていくことにしたい。
(文責:丸山泰明)
渋沢史料館での調査
日程:2018年6月3日(日)
調査先:渋沢史料館
調査者:丸山泰明、小熊誠、黛友明
渋沢史料館調査
東京都北区の飛鳥山にある渋沢史料館にて調査を行った。渋沢史料館は、近代日本の経済社会の基盤を築いた渋沢栄一を記念する博物館である。調査では同館学芸員の永井美穂氏より、日本青年館および大日本聯合青年団の理事・理事長を務めた田沢義鋪と渋沢栄一の関係についてご教示を受けた。また、永井氏からは、渋沢敬三の「手帳」において青年団や日本青年館に関する記述の箇所を教えていただき、当該箇所を撮影した。渋沢栄一の孫である渋沢敬三は財界人であるとともに、自邸内にアチック・ミューゼアム(後に日本常民文化研究所に改称)を設立した民俗学や水産史などの研究を主宰した研究者でもある。日本青年館内にあった大日本聯合青年団郷土資料陳列所の設立に協力し、資料の寄贈も行なっている。田沢義鋪と渋沢栄一・渋沢敬三の関係をさらに考究していくことにより、近代日本において「青年」として捉えられた人々にどのような社会的期待が寄せられていたのかを、より具体的に明らかにすることができるだろう。
(文責:丸山泰明)
2018年度 第1回研究会の開催
日程:2018年4月21日(土)~4月22日(日)
会場:神奈川大学日本常民文化研究所
参加者:丸山泰明、小熊誠、木村裕樹、小林光一郎、黛友明、室井康成
資料調査
4月21日は、前回の研究会以降に実施した下記の調査について報告し、調査結果と今後の展望について議論を行った。
・雫石町立図書館田中喜多美文庫調査(2017年12月16〜17日、岩手県雫石町)
・東京都市大学図書館蔵田周忠文庫調査(2018年3月8〜9日、東京都世田谷)
・金屋村青年団についての調査(2018年3月19〜20日、埼玉県本庄市)
4月22日には、日本常民文化研究所が所蔵する「山袴に関する調査資料」について調査と写真撮影を行った。本資料は、大日本連合青年団郷土資料陳列所が1934年に実施した山袴についての調査に対する各地からの回答を綴じたものである。回答は、1937年に大日本聯合青年団から刊行された『山袴の話』に収録されている。
今回は時間が限られていたため簡単な調査しか行えなかったが、大日本連合青年団郷土資料陳列所が同時期に前後して実施した郷土染色に関する調査と実施方法が良く似ていることがわかった。質問票の問い方、但し書き、形態などがよく似ており、また回答者についても重複が見られる。この資料をより精査し、さらに他の資料と照らし合わせることによって、大日本連合青年団郷土資料陳列所の活動の実態を明らかにしていくことが期待できる。
(文責:丸山泰明)