昭和戦前期の青年層における民俗学の受容・活用についての研究
共同研究フォーラム「青年と学問」の時代—昭和戦前期の郷土と民俗学の開催(終了報告)
日程:2019年7月6日(土)
会場:神奈川大学横浜キャンパス3号館405講義室
参加者:丸山泰明、小熊誠、木村裕樹、小林光一郎、黛友明、室井康成、重信幸彦
■ 全体風景 ■ ディスカッション
2年間にわたる調査・研究の成果について報告する共同研究フォーラムを開催した。フォーラムのタイトルは、1928年に日本青年館から出版された柳田國男の著書『青年と学問』に由来する。1920年代後期から1930年代後期の間を対象として、郷土の更生する役割を期待された青年に民俗学という学問が関わった時代を対象にした。単に今まで十分に論じられてこなかった民俗学の歴史の一面を明らかにすることだけがフォーラムの目的だったわけではない。民俗学に関する学問やミュージアム、メディア、イベントを介した地方と東京、および青年と知識人の関わりを検討することを通じて、政治・教育・工芸・芸能の様相を解剖することを目的としたフォーラムである。そしてまた、今日大学のアカデミックな学問として安住してしまっている民俗学が当初もっていた可能性を掘り起こすことも意図した。
共同研究の各メンバーが行ったそれぞれの発表のタイトルについては下記の通りである。
丸山泰明「問題提起」
小熊誠「日本青年館と地方青年団—宮城県気仙沼大島の青年団資料による」
室井康成「選挙粛正運動と青年団—司馬遼太郎の“若衆”観からの問い」
小林光一郎「アチック・ミューゼアムと大日本連合青年団の関連性—アチック同人大西伍一を事例に」
木村裕樹「青年による副業の研究—郷土工芸を中心に」
黛友明「青年は「郷土」を踊れたか—「郷土舞踊と民謡の会」の理念と現実」
各メンバーの発表ののち、重信幸彦氏からコメントをしていただき、その後フロアからの質問も受け付けながらディスカッションを行なった。
各メンバーの発表内容については、2019年度中に刊行予定の報告書に、諸資料とあわせて掲載する予定である。
(文責:丸山泰明)