共同研究

熊野水軍小山家文書の総合的研究

高知県沿岸部の踏査

日程:2020年2月15日(土)~2月17日(月)
調査先:四万十市郷土博物館・香山寺・坂本遺跡(いずれも高知県四万十市)、高知県立歴史民俗資料館(高知県南国市)、奈半利・コゴロク遺跡(高知県安芸郡奈半利町)、最御崎寺・金剛頂寺・津照寺(いずれも高知県室戸市)など
調査者:坂本亮太

  ■ 香山寺と坂本遺跡遠景(四万十市郷土博物館より臨む)  ■ コゴロク遺跡

室戸岬西岸の港(最御崎寺より臨む)

 2020年2月15日(土)から17日(月)にかけて、高知県沿岸部(東部と西部)の流通拠点の現地踏査、ならびに関連展示の見学をおこなった。特に高知県では発掘調査の成果から、東部と西部とでは遺物相に大きな違いのあることが指摘されている(松田直則「中世土佐の地域性」・池澤俊幸「南四国に搬入された中世土器・陶磁器と海運」、ともに『中世土佐の世界と一条氏』高志書院、2010年)。そこで、西部の四万十川河口部と、東部の奈半利・室戸の踏査を実施した。
 四万十川河口部に位置する坂本遺跡は「紀伊型土釜」が出土していることに加え、戦国期の坂本村には「キシウヤシキ(紀州屋敷)」があり、紀伊との関連が注目されているところである(前田光雄・筒井三菜「香山寺跡と坂本遺跡」『中世土佐の世界と一条氏』(前掲))。そこで初日は、関連資料が展示されている四万十市郷土博物館 企画展「南仏上人と香山寺」を見学し、あわせて坂本遺跡周辺の現地踏査をおこなった。
 2日目午前は、前日に引き続き香山寺周辺の踏査をおこなった。2日間の踏査と企画展見学により、坂本遺跡と香山寺との関係を含め実地に確認することができた。午後は高知県立歴史民俗資料館に行き、京都—土佐間の移動ルートについての理解を深めるため、企画展「遠流の地 土佐」の見学をした。また夕方には、「土佐日記」にも登場し、中世には材木の積出港でもあった奈半利の現地踏査を実施した。
 3日目朝も引き続き奈半利の現地踏査、あわせて高知県東部で現状唯一、輸入陶磁器が出土しているというコゴロク遺跡の現地確認もおこなった。その後、金剛頂寺・津照寺・最御崎寺の三か寺を中心とする室戸岬周辺の港町の踏査をした。中世港町としての室戸については、目良裕昭氏の論考(「室戸崎の中世港町と土佐沖航路」『高知県立歴史民俗資料館研究紀要』22号、2017年)を参考に、景観と構成について確認をした。
 以上、3日間の踏査・見学で、土佐の流通拠点の様相と土佐沖航路について理解を深めることができた。

(文責:坂本亮太)

高知県沿岸部の踏査

進捗状況および成果報告一覧はこちら

  • WWW を検索
  • サイト内を検索

ページトップ

神奈川大学
国際常民文化研究機構