熊野水軍小山家文書の総合的研究
熊野地域の考古資料調査
日程:2020年2月21日(金)~2月24日(月)
調査先:串本町文化センター・無量寺応挙蘆雪館(和歌山県東牟婁郡串本町)、弥ノ森城・宝泰寺・清水氏館跡
(和歌山県東牟婁郡那智勝浦町)、三重県埋蔵文化財センター熊野整理所(三重県熊野市)、小栗須城跡・大栗須城跡・
赤木城跡・萬重寺・西光寺墓地(三重県熊野市)、野長瀬一族・横矢一族の墓所(和歌山県田辺市)など
調査者:坂本亮太、北野隆亮、佐藤純一
■ 無量寺・応挙蘆雪館 ■ 赤木城跡の巡検
2月21日(金)から24日(月)にかけて、熊野地域の中世考古資料の調査、城館踏査を実施した。
21日は、串本町文化センターにおいて地蔵道遺跡の中世遺物の実測図作成、無量寺・応挙蘆雪館において中世遺物(瓦器碗など)の実測図作成をおこなった。和歌山県南部は発掘調査事例が少なく、中世考古資料の数も限られており、上記の遺物についても、これまで存在が指摘されるだけで、図面・写真等が紹介されることはなかった。そこで、資料化を図るべく、実測図作成と写真撮影を実施した。成果は報告書に掲載する予定である。
22日は、雨天であったが、色川地区の弥ノ森城跡・宝泰寺・清水氏屋敷跡の確認踏査をおこなった。午後は、近年熊野川河口部で発掘調査が行われた鵜殿西遺跡・新宮城下町遺跡の検討会(伊勢中世史研究会)に参加した。熊野川河口部の中世遺跡と遺物についての情報交換をおこなうとともに、遺物等の見学をすることができた。
23日は、同じく伊勢中世史研究会による三重県熊野市内の城館跡・中世石造物の巡検に参加した。小栗栖城跡・大栗栖城跡・赤木城跡・萬重寺・西光寺墓地などについて、解説を受けながら見学することができた。北山川流域の中世城館・石造物の確認、および最新の調査成果を知ることができたのは大きな成果であった。
24日は、野長瀬一族・横矢一族の墓所(和歌山県指定文化財 史跡)の石造物調査を実施した。野長瀬一族・横矢一族の墓所は、熊野で五輪塔・宝篋印塔が約60基残り、熊野地域でこれだけまとまって中世石造物が残る場所はあまり知られていない。そこで、一点ごとの詳細なデータ(寸法計測)を取り、資料化を図った。
以上4日間の調査により、熊野地域の中世遺物・中世石造物・中世城館についての情報・資料収集をすることができた。
(文責:坂本亮太)