熊野水軍小山家文書の総合的研究
第7回共同研究フォーラム「中世熊野の海・武士・城館」終了報告
日程:2021年1月23日(土)13:30~17:00
会場:Zoomミーティング
参加者:報告者/坂本亮太、佐藤純一、北野隆亮
コメント/村上絢一(京都大学大学院博士後期課程・大阪経済法科大学非専任講師)
司会/白石博則、関口博巨 共同研究者/弓倉弘年、春田直紀、呉座勇一、薗部寿樹、高橋修
Zoom画面(総合討論時)
2021年1月23日(土)午後に、本共同研究の成果報告(第7回共同研究フォーラム)として、「中世熊野の海・武士・城館」というシンポジウムを実施した(参加者75名)。本来は昨年9月に実施し報告書をまとめていく予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により紆余曲折があったなかで、1月末にZoomで開催することになったものである。
まず、坂本が本共同研究の概要について簡略に紹介したのち、「紀州小山家文書の魅力と可能性」と題する報告をおこなった。この共同研究において主たる調査・研究の対象としてきた久木小山家文書の研究史・概要に触れつつ、文書群の位置づけ、その重要性、課題の提示をおこなった。次に、佐藤純一氏が「熊野水軍が築いた城館—史跡安宅氏城館跡を中心に—」という報告をおこなった。熊野水軍のモデルケースとなる安宅氏について、久木小山家文書も使いつつ、その動向とともに、近年史跡に指定された安宅氏城館跡について紹介をおこなった。
関連報告として、北野隆亮氏が「遺物組成からみた中世紀伊半島の流通」という報告をおこない、西庄Ⅱ遺跡(和歌山市)の遺物組成の分析をもとに、和歌山県内各地の中世遺跡(太田城跡・安宅氏居館跡・川関遺跡)との比較をおこない、紀伊半島における焼き物の流通事情を俯瞰した。続いてコメントとして村上絢一氏より、土佐国安芸文書の事例の紹介をしつつ、紀州小山家文書に関する課題の提示をおこなうとともに、本シンポジウム全体についての提言をしていただいた。報告時間が超過したこともあり十分な討論時間を設けることはできなかったが、最後に、村上氏よりのコメント、参加者からの質問などに応えるかたちで、総合討論をおこなった。
慣れないZoomによる開催ということもあり、報告時間の超過、質疑の受け答えなどに課題を残すことになったが、多くのかたにご参加いただき、本共同研究の概要、そして課題について伝えることはできたものと思われる。各報告(およびコメント)の内容は、報告できなかった研究成果とともに、是非とも報告書を参照していただきたい。
(文責:坂本亮太)