共同研究

1-2.日本列島周辺海域における水産史に関する総合的研究

調査(長崎県) 【 長崎県・小値賀島のアワビ漁業の歴史調査 】

日程:  2010年12月14日(火)
訪問先: 長崎県北松浦郡小値賀町、宇久小値賀漁協斑支所
実施者: 片岡 千賀之

 宇久小値賀漁協斑支所に漁業者に集まってもらい、アワビ採取の方法などの聞き取りを行った。
 集まっていただいた漁業者は4人で、潜水の深さ:深入り、中入り、浅入りの人が揃っているので、それぞれの方法を聞くことができた。また、地域の人で、小値賀のアワビ採取についてまとめた人がいるとういうのでその家を訪ねて1冊いただいた。その家はかって、アワビの加工をしていたので、その跡を確認した。小値賀歴史民俗資料館では学芸員の人に町の地名を教えてもらった。小値賀町産業振興課水産班の方の手配と案内のおかげで、短時間の滞在で効率よく話が聞けた。  (片岡 千賀之)

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海外調査(韓国)

日程:  2010 年 11月 20日(土)~ 2010年  11月 27日(土 )
訪問先: 韓国、西江大学校図書館、高麗大学校図書館、国立中央図書館
実施者: 中野 泰

 『茲山魚譜』は朝鮮時代に丁若銓(1758-1816)によって1814年に著された魚名の書である。内容は、魚名だけにとどまらず、漁法、薬効、伝説に加え、観察記録が多く含まれており、韓国では、その魚の博物誌とでも呼べる内容を高く評価している。
 水産庁中央水産研究所の旧祭魚洞文庫の中に、この『茲山魚譜』の写本が含まれている。故・鄭文基の手による写本である。鄭文基は『茲山魚譜』の写本を整理し、知識産業社から影印付きのハングル訳で出版した魚類学者として知られている。その序文には渋沢敬三へ贈った経緯が記されている。考古学者・人類学者として知られる羽柴雄輔と、福岡水産試験場長であった岡村の名が見え、昭和20年1月の日付を確認することができる。
 現在、韓国において『茲山魚譜』の原本は所在不明である。また、韓国に所蔵されている『茲山魚譜』の写本は複数あるが、これらの中で筆写の年月日を特定できるものはとても少ない。旧祭魚洞文庫の写本は、これらの点において、『茲山魚譜』の書誌学的研究のみならず、東アジアにおける魚をめぐる知識の展開において重要な意味を有している。
 今回は、西江大学校ロヨルラ図書館と高麗大学校図書館漢籍室所蔵の写本を閲覧した。前者の所蔵本は撮影できたが、後者の所蔵本は、撮影不可のため、筆写した。また、関連資料を国立中央図書館にて収集した。  (中野 泰)

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海外調査(韓国)【 朝鮮海出漁および現地漁業に与えた影響に関する資料収集と研究者との意見交換 】

日程:  2010年10月25日(月)~ 27日(水)
訪問先: 韓国・釜山 釜慶大学校図書館
実施者: 片岡 千賀之

 明治初期から西日本の漁民が朝鮮海に出漁し、1910年代には移住するようになって、植民地支配下の朝鮮漁業をリードした。朝鮮海出漁についての日本側は相当な研究蓄積があるが、韓国サイドは、日本人漁業による朝鮮人漁業の圧迫という視点から研究を進めている。両者の視点の置き方が異なるが、韓国側の研究はほとんど知らせていない。国際関係は、出漁側と受け入れ側双方の視点が不可欠である。
 そうした観点から、釜山に行き、朝鮮海出漁に関心を抱いているか、研究をされている研究者に会って、研究状況を伺い、また釜慶大学校図書館や研究室で、関係論文を収集した。お会いした研究者は、釜慶大学校名誉教授のジャン・スーホー氏とチェ・ジュンヨン氏で、資料収集に協力いただいたのは、釜慶大学校のキム・ビョンホ教授である。戦前の原資料はほとんど残っておらず、当時、発行された雑誌や研究調査報告に基づいて論文が書かれており、その資料も多くが日本で入手したものが多い、ということであった。 (片岡 千賀之)

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調査(函館・八戸) 【 戦後・昭和20年代における水産物の加工と流通 】   

日程:  2010年10月17日(日)~10月21日(木)
訪問先: 函館市・函館大学図書館、八戸市・八戸市立図書館
実施者: 中居 裕

 8月の調査に引き続いて函館・八戸地区において2度目の資料調査を実施した。
 函館調査では、函館海産商同業協同組合関係・函館海産物取引所関係資料から昭和20年代のスルメ関連の漁業・加工・流通に関する資料を多数確認できた。他方の八戸調査では、漁業関係の資料が若干ながら確認できたが、スルメ加工に関する資料がほとんど見つけ出すことができなかった。
 次回では、函館についてスルメ取扱業者(問屋・商社)の個別資料と八戸について青森県史編纂所管資料の調査を実施する予定である。  (中居 裕)

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平成22年度第1回共同研究会 および筆写稿本の合同史料調査

日程: 2010年10月2日 (土) ~ 4日 (月)
場所: 神奈川大学
参加者: 伊藤 康宏、片岡 千賀之、中居 裕、橋村 修、森脇 孝広、田島 佳也、小岩 信竹、中野 泰

 第3回(通算)の研究会と筆写稿本(常民研所蔵の漁業制度改革資料)の合同史料調査を日本常民文化研究所と国際常民文化研究機構研究室において行った。研究会は参加者全員の中間発表と討論を行った。各自の報告タイトルは以下のとおりである。

中野 「旧祭魚洞所蔵『茲山魚譜』の成立とその背景-朝鮮半島における民俗知識の歴史的位相-」
小岩 「漁業制度調査筆耕資料の利用と周辺資料の調査についての中間報告」および「樫谷政鶴の
    漁業権論と台湾の漁業制度」
森脇 「(仮)木更津の戦後と漁業」
田島 「近世北海道(松前蝦夷地)と主要海産物の交易・流通-
    西蝦夷地の漁業-」
中居 「昭和20年代における水産の加工・流通の研究」
片岡 「長崎県・小値賀のアワビ漁業-近現代-」
橋村 「薩摩藩領の漁業史料について」および「シイラの文化誌-『聖なる魚』『地魚』『雑魚』-」
伊藤 「明治前期の『漁業慣行調査』について」

 また、9/25の第4回水産史研究会(東京海洋大学越中島キャンパス)において末田智樹「近世日本捕鯨業の成立と発展に関する再考-歴史地理学的観点の重要性-」報告があった。このなかで筆写稿本史料を活用した研究成果(伊藤他)も報告された。  (伊藤 康宏)

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個別研究会 【 第4回水産史研究会 テーマ研究 「近世日本捕鯨業史の研究 」】

日時: 2010年9月25日 (土)~26日(日)
場所: 東京海洋大学越中島キャンパス
参加者: 末田 智樹

上記日程で開催された第4回水産史研究会において、江戸時代における四大捕鯨業地方を比較史(歴史地理学)的考察方法で、四大捕鯨業地方のそれぞれの特色を浮き彫りにするために、「近世日本捕鯨業の成立と発展に関する再考-歴史地理学的観点の重要性-」という論題にて報告した。 (末田智樹)  

詳細は添付参照

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調査(福岡) 【 江戸時代において日本一の鯨組とうたわれた平戸藩生月島の益冨又左衛門組の史料調査 】

日程: 2010年 8月 31 日(火) ~ 2010年 9月 6日(月)
調査訪問地: 福岡大学総合研究所、福岡市総合図書館
調査実施者: 末田 智樹

  江戸時代において日本一の鯨組と言われ、近世日本における全国の長者番付でも上位に位置していた平戸藩生月島(現在の長崎県平戸市)の益冨又左衛門家(通称益冨組)の史料が、現在、福岡大学総合研究所と福岡市総合図書館に所蔵されている。今回は、その益冨家文書の調査およびカメラ撮影を行った。
  調査の具体的目的は2つあり、1つめは漁業制度資料筆写稿本の目録にある益冨家文書に関する資料が、実際に同家文書に本物の史料として存在しているかどうかの確認作業であり、これは同家文書にすべて存在していた。
  2つめは国際常民文化研究機構のグループ研究に活用できる新たな多くの益冨家文書の撮影による史料収集であった。漁業制度資料筆写稿本を中心に西海捕鯨業の研究を進めているが、それに関連する史料が益冨家文書にも豊富にあり、将来的には論考にまで発展する史料の収集ができた。そして、2010年9月25日のグループ研究会において、今回の調査結果も含めて、西海捕鯨業地域の形成と益冨組の経営展開(=いわゆる藩際捕鯨業の経営展開)について報告の予定である。 (末田 智樹)

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調査(青森県、北海道)

日程: 2010年  8月 26日 (木) ~ 8月 29 日 (日)
調査訪問先: 青森県八戸市・市立図書館、北海道函館市・市立中央図書館
調査実施者: 中居 裕

 昭和20年代の水産史研究において最も希薄な分野となっているのが水産加工業関係である。そうした昭和20年代において最大の水産加工品となっていたのがスルメであり、さらにそれに係る漁業・加工・流通の中心地となっていたのが北海道函館地区であった。本研究は、函館地区におけるスルメに関わる漁業・加工・流通などから地域のスルメ経済の構造を明らかにすることを目指している。
 今回は、函館市立中央図書館において関係資料の収集を行った。同図書館には市史編纂事業において収集された関係資料が集積されていたが、市史編纂室の解散に伴って資料が分散してしまったため所定の目的を果たすことができなかった。さらに今回は、函館に次ぐスルメの加工・集散地であった八戸地区においても資料収集を行った。全体として20年代の資料がほとんど残されていないことが分かった。 (中居 裕)

旧函館海産物取引所の建物 旧函館海産物取引所の建物

旧函館海産物取引所の建物

【写真はすべて旧函館海産物取引所の建物】

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調査(長崎県) 【 小値賀のアワビ漁業の歴史 】

日程:  2010年8月19日(木) ~ 20日(金)
訪問先: 長崎県北松浦郡小値賀町 宇久小値賀漁協、小値賀町産業振興課
実施者: 片岡 千賀之

 長崎・五島列島の北端に位置する小値賀町は、アワビの採取と加工が盛んであった。昭和3~19年は産業組合漁民団、昭和24年~63年は漁業生産組合がアワビ漁業・加工を管轄(他の漁業・水産加工とともに)していたこともあって、多くの資料が残されている。また、水産振興のために、町産業振興課がアワビ漁業の詳細な生産記録をつけている。今回は、漁業生産組合(昭和63年に解散)の事業活動記録と町のアワビ生産関係資料の収集を行った。
 小値賀におけるアワビ生産の目的は、藩政時代は俵物生産、明治・大正・昭和期は乾鮑生産と輸出、昭和30年代以降は鮮貝出荷が中心になっていくが、本研究は、それぞれの時代における漁業者(集団)、生産高、漁業権・入漁権、資源管理・増養殖、潜水技術、加工方法、流通・販売方法と商業の変遷を概観することを目指している。   (片岡 千賀之)

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資料調査(北海道)

日時:  2010年8月15日(日) ~ 17日(火)
訪問先: 函館市中央図書館(函館市)、北海道立文書館(札幌市)
実施者: 小岩信竹

  8月15日に函館市中央図書館に行き、主として明治期の北海道の漁業組合、水産組合に関する資料を閲覧し、一部はコピーを取った。その主な資料は以下の通りである。
  ①漁業組合書類(手書き資料)、②北海道水産組合連合会要覧(手書き資料)、③内務省総務局北海道課『北海道漁業取調書』、④増毛村漁場売渡証文(手書き資料)、⑤増毛支部漁業施設方法書(こんにゃく版による青色印刷物)、⑥松浦厚『大日本大漁業国・北海宝庫』
  これらの資料の一部は貴重図書ということで、閲覧は事前申請が必要であったのだが、今回は特に不都合がないということで、閲覧を許された。これらの資料は、今回の調査目的である北海道の漁業組合と水産組合の関係についての調査に適合的な資料であり、その活動内容を示す貴重なものである。今回はこうした資料の収集ができたが、函館市中央図書館には、収集すべき多くの資料が残っていることがわかった。
  8月16、17の両日は北海道立文書館で調査を行った。この調査は昨年度に続き、戦前期の北海道における免許漁業原簿を閲覧することが目的であり、今回はニシン漁業やサケ・マス漁業の中心地である稚内地区の原簿を閲覧した。調査者は、かつて「明治期北海道における中堅漁業会社の経営—北見商会、北見株式会社の事例—」(『漁業経済研究』49-1所収)を発表したが、今回はそこで論じた北見株式会社が所有していた漁業権の原簿を確認できた。しかし、今回はニシン漁業の漁業権に関してのみで、サケ・マスの漁業権は時間切れで調査できなかった。同株式会社が所有していた漁業権は多数存在するのである。従って、引き続き調査を継続する必要が出てきた。
  今回の調査では、明治前期の北海道漁業の多様性を確認できたことが収穫である。特に、漁業組合準則に基づく漁業組合の活動を示す資料が函館で確認でき、また、株式会社組織の漁業会社の活動が道立文書館の調査で確認できた。これらの資料の分析はこれからであるので、かくていてきなことはいえないものの、明治漁業法体制の成立の前提や、その後の経過を示す資料が集まってきたことは、プロジェクトの課題達成に近づいたことを意味する。 (小岩 信竹)

収集資料の例、その1 収集資料の例、その2

【収集資料の例、その1】                         【収集資料の例、その2】

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