資料調査(東京海洋大) 【 東シナ海・黄海の漁業資料 】
日程: 2012年8月28日~29日
訪問先: 東京・品川:東京海洋大学附属図書館
実施者: 片岡千賀之
第二次大戦前における東シナ海・黄海の漁業は、汽船トロール・レンコダイ延縄・機船底曳網の3種類で、内地だけでなく、外地・中国を根拠として操業するものもあり、それぞれが相互に関連している。今回の資料調査では、未収集であった各漁業種類毎の発達史に関するもの、外地・中国での操業と漁業政策に関するもの、漁業統計の収集を心がけ,ほぼ目的を達成した。 (片岡千賀之)
平成24年度第1回共同研究会
日程:2012年7月21日(土)~ 7月22日(日)
場所:神奈川大学国際常民文化研究機構
参加者: 伊藤康宏、田島佳也、片岡千賀之、小岩信竹、末田智樹、鎌谷かおる
研究叢書の取りまとめに向けた研究会を2部構成で行った。
第1部では伊藤康宏「明治前期の漁業制度変革に関する研究-島根県を中心に」、片岡千賀之「戦前における東シナ海・黄海漁業の展開」、小岩信竹「近代における青森県下北漁村をめぐる漁場紛争の展開」、末田智樹「西海捕鯨業地域における巨大鯨組の凋落-弘化・嘉永期の益冨組経営の難局と改革-」の各氏の報告ならびに討論を行い、さらに研究叢書の構成案について検討し、「漁業制度」編と「人と魚の関係史」編の2部構成とすることを確認した。
第2部では新メンバーの鎌谷かおる氏の「日本近世の内水面漁業における殺生禁断領域と漁民の認識-琵琶湖を事例に-」の報告をもとに議論を行った。(伊藤 康宏)
資料調査(長崎) 【 西海地方の捕鯨業史料の調査 】
日程: 2012年3月13日 (火)~3月16日 (木)
訪問先: 松浦史料博物館
実施者: 末田 智樹
西海地方の捕鯨業史料の調査を行った。今回は、平戸松浦史料博物館に所蔵されている近世西海捕鯨業にかかわる関係文書を中心に調査し、史料収集を試みた。今後は、漁業制度資料筆写稿本に含まれる益冨家文書と併せて使用し、近世西海捕鯨業の展開過程を明らかにする最終報告書の完成を目指す。 (末田 智樹)
資料調査(静岡) 【 ビキニ事件・原水禁運動関係新聞資料の調査 】
日程: 2011年3月17日(土)~3月19日(月)
訪問先: 静岡市・静岡県立中央図書館、歴史文化情報センター
実施者: 森脇 孝広
前回調査の続きとして、静岡県立中央図書館にて、『静岡新聞』の1954~1960年頃までのコピー資料を閲覧し、ビキニ事件・原水禁運動に関して複写すべき記事の選定作業を行った。かなりの量にのぼることになったため、翌19日に歴史文化情報センターにて、同じコピー資料のなかから複写すべき記事の撮影を行った。前回同様、幡谷雅之『静岡新聞にみる静岡県昭和水産史』(まな出版企画、2008年)を参考にしながらの作業だったので、効率的・集中的に進めることができた。 (森脇 孝広)
資料調査(神奈川) 【 漁業制度改革関連資料の収集 】
日程: 2012年 3月 21日(水) ~ 3月 22日(木)
訪問先: 水産庁中央水産研究所 (横浜市金沢区)
実施者: 中野 泰
中央水産研究所図書資料館にて、漁業制度改革関連資料を収集した。この収集過程から、『漁業制度改革資料目録』と『水産庁水産資料館所蔵資料目録 ; 第1巻(改訂版)』との間には、目録内容に差があり、双方を参照する必要のあること、かつ、前者の目録には採録されていない資料も原資料には少なからず含まれていることがわかった。
前者で目録化されているのは、主として、農林省水産局側の資料であるが、GHQ側の資料も含まれている。天然資源局の資料に比して、民間情報教育局の資料は少ない。『改革の立法経過(漁業制度改革史料 ; 第1巻)』にまとめられた歴史が、そうした資料的偏重に支えられており、必ずしも、漁業制度改革の全体像をとらえたものではないことを確認した。
天然資源局の資料のうち、たとえば、Weekly Summary誌は、全307号中、77号分が所蔵されていることを確認した。この資料には、Restrictedと押印(印刷)されており、GHQ内部に限定された文書であったことがわかる。ところで、『漁業制度改革資料目録』に目録化されている号であるにも関わらず、所蔵自体が確認できないWeekly Summary誌の号がある(44冊)。これらの号に共通するのは、特に、漁業法に関わる内容を収録している点である。漁業法に関わる号のみを、他の号と区別し目録化していた点は、水産局側におけるWeekly Summary誌の保管や利用のあり方を窺わせて興味深い。
しかしながら、この所在探索のために、図書資料館職員の手を長く煩わせてしまった。『漁業制度改革資料目録』のまえがきには「尚資料は一部水産庁の調整一課、二課、経理課の業務用資料として各課におかれてある」と記されている。資料の所蔵確認ができない理由としてこの事情が該当するならば、漁業制度改革資料には、現用文書が含まれているということになる(もちろん、Weekly Summary誌は水産庁の公文書ではないが)。この一件を振り返ると、行政目的で利用されることとは別に、これら資料を複製し、適切な所蔵管理のもと、公開・利用に供する必要があるのではないかと考えさせられた。
漁業制度改革資料は利用されてこそ価値があり、その歴史は、最善のものへ書き換えられていくことに意味があるからである。 (中野 泰)
調査(札幌) 【 千島・樺太北方海域における近世〜近代前期の漁業の実態について 】
日程: 2012年 3月 13日(火)~ 3月 18日(日)
訪問先: 北海道札幌市(北海道大学付属図書館、北海道立文書館、北海道開拓記念館)
実施者: 田島佳也
今回の調査は、政府による北海道拓殖に積極的な役割を果たしてきた半ば国策銀行たる北海道拓殖銀行(バブル期に破綻)の調査部が、融資に当たって事前に事業の調査・分析を行った銀行の内部調査報告書に注目した。銀行が調査対象漁業の実態をどのように把握していたか、に焦点を絞り、融資資金と利子の回収を業務とする銀行側が分析・把握していた当時の北海道漁業の実態を調査した。
現在、この調査報告書などは拓銀の破産後、北海道開拓記念館に寄贈されたが、今回の調査で、引き継いだ拓銀調査資料が拓銀調査部に残されていた資料の全部ではないことが判明した。調査報告書も欠号がある。報告書は北海道大学付属中央図書館にも架蔵されているが、やはり全部ではなく、全貌を把握するまでに至らなかった。
取りあえず、今回の調査ではそのなかの樺太・千島漁業関係について、漁業会社や個人漁業家への融資の観点からみた銀行側の報告書に焦点を絞り、関係記録をカメラに収めた。ただ、資料館の改修工事などにより開館・閲覧時間の短縮と整理のための利用不可があり、一部しか資料を閲覧・撮影できなかった。後継研究者への史料閲覧に供する責務を併せもつ国際常民文化機構の趣旨からも撮影が一部にとどまったのは残念である。
なお、収集史料は以下のとおりである。
・「勘察加ニ於ケル漁業」(北海道拓殖銀行調査部)
・「当行より見た本道の金融界」
・大正8,9,拾年の各「北海道樺太対各地間出入金高調」
・昭和3年「北海道及樺太各銀行預金貸付金高調」
・昭和8年「樺太拓殖調査報告書」/・高野勝「北千島水産調査復命書」/・杉本善之助「樺太漁制改革沿革史」昭和10・9・15/・イエー・カー・スーボーロフ『コマンドルスキー群島ト貴重獣皮事業』樺太庁、大正10・3・30"
(田島 佳也)
資料調査(福岡) 【 益冨家文書の調査 】
日程: 2012年3月5日 (月)~3月8日 (木)
訪問先: 福岡大学総合研究所、個人宅
実施者: 末田 智樹
今回の調査目的は、漁業制度資料筆写稿本に含まれる益冨家文書に関する資料が、同家文書の史料と一致しているかどうかの調査であった。益冨家文書が漁業制度資料筆写稿本に多く含まれていることが確認できた。今後は、漁業制度資料筆写稿本に含まれる益冨家文書を使用し、近世西海捕鯨業の展開過程を明らかにする最終報告書の完成を目指す。 (末田 智樹)
資料調査(東京海洋大) 【 明治前期漁業慣行調査の系譜 】
日程: 2012年 3月 14日(水)~ 3月 16日(金)
訪問先: 東京海洋大学品川附属図書館
実施者: 伊藤 康宏
明治前期の漁業慣行調査の系譜を解明するために、東京海洋大学附属図書館(品川)羽原文庫所収の水産資料、「漁業慣行調 (宮城県)水産課編 昭和九年三月」(004/H11/K197-1)・「同 其ノ二」(004/H11/K197-2)、「舊藩時代ニ於ケル漁業制ノ沿革調査 富山県」(004/H11/E81)他を調査収集した。
宮城県の「漁業慣行調」は水産課が明治25年に県下6郡の漁業慣行を調査し、それを明治26年「水産綴」に整理し、昭和9年3月にガリ版印刷したものである。富山県の「旧藩時代ニ於ケル漁業制ノ沿革調査」は「旧藩時代の漁業制度調査資料第2編」( 農林省水産局編)の原資料の一つと見られる。
右下図は「漁業慣行調」(表紙)、下中図はその1ページ目、左下図は富山県の「旧藩時代ニ於ケル漁業制ノ沿革調査」の表紙。 (伊藤 康宏)
写真右より: ■ 「漁業慣行調」(表紙) ■ 「漁業慣行調」1ページ目 ■ 富山県の「旧藩時代ニ於ケル漁業制ノ沿革調査」の表紙。
資料調査(兵庫・京都) 【 拠点開発と沿岸漁業 】
日程: 2012年2月29日(水)~ 3月2日(金)
訪問先: 京都大学図書館、兵庫県立図書館
実施者: 足立泰紀
沿岸拠点開発に対する地域住民側の資料収集は引き続き行ってきたが、今回は拠点開発を推進する自治体や企業サイドの資料の渉猟を行った。兵庫県は1952年に「工場誘致条例」を制定、54年には『兵庫県総合開発計画』を策定、沿岸部の埋め立てを進めつつ、62年には『阪神・播磨工業地帯長期基本計画』を出している。今回の調査では、関連する行政サイドの資料を閲覧、複写した。拠点開発地域に被害をもたらす「公害」問題、沿岸漁業問題を、当時行政サイドはどのように予測、認識していたのかを裏付ける資料と推察される。 (足立 泰紀)
資料調査(福井) 【ビキニ事件・原水禁運動関係資料調査】
日程: 2012年3月3(土)~3月5日(月)
訪問先: 福井県坂井市・平和文化史料館ゆきのした
実施者: 森脇 孝広
今回の調査で訪れた「平和文化史料館ゆきのした」を運営する「ゆきのした文化協会」は、1949年秋に結成された「新日本文学会福井支部」を母体としている。史料館の建物は元々、この地域の基幹産業であった織物工場とのことで、同会が発行する機関誌『ゆきのした』をはじめ、県内各地で発行されたサークル誌、福井空襲に関する資料、文学・歴史関係の書籍等が多数収められていた。当日は同会代表・田島伸浩氏がJR芦原温泉駅で出迎えてくださり、同会事務局長・粟田栄氏の車で史料館まで連れて行っていただいた。まず、田島氏より、同会・史料館設立の経緯などを聞いた後、同協会の機関誌『ゆきのした』のバックナンバー、及び同館所蔵の文化運動・社会運動関係の資料を閲覧しながら、ビキニ事件・原水禁運動関係の記事をデジカメ撮影した。 (森脇 孝広)
資料調査(北海道) 【 幕末明治の北海道の漁業制度と千島・樺太の海獣漁業 】
日程: 2012年 2月 21日(火)~ 2月 26日(日)
訪問先: 函館市中央図書館、北海道大学付属水産学部図書館
実施者: 田島佳也
函館での調査は関係所蔵機関が所蔵していると思われる資料の所在を確認し、併せて内容を調べることであった。函館は北方行業の基地であり、かつ北洋漁業産物の取引地であり、北海道における漁業がどのような組織・仕組みと法律の下で遂行されていたかを調べることであり、関係資料の調査・撮影を行った。 (田島 佳也)
資料調査(神奈川) 【 明治前期漁業慣行調査の系譜 】
日程: 2012年 2月 28日 (火)~ 3月 1日 (木)
訪問先: 中央水産研究所図書資料館 (横浜市金沢区)
実施者: 伊藤 康宏
明治前期の漁業慣行調査の系譜を解明するために、独)水産総合研究センター中央水産研究所図書資料館所蔵の水産資料(「採魚法取調ノ達 新潟県 明治12年」〈祭魚洞文庫目録A1122-N22〉、「漁民戸口取調規則 長野県 明治13年」〈祭魚洞文庫目録A182-N1〉、「根室県 管内漁猟採藻略説 明治16年」〈祭魚洞文庫目録A0211-N2〉)を調査収集した。
前者(左下図)と中者(中下図)は、農商務省農務局からの「水産慣行取調」依頼に対して新潟県、長野県の各郡への調査の通達、後者(右下図)は根室県勧業課が明治15(1882)年8月、第一回水産博覧会(明治16年開催)に出品するために作成した漁業解説書の一つと見られる。 (伊藤 康宏)
写真:筆者撮影
資料調査(大阪) 【 ビキニ事件関係資料調査 】
日程: 2012年2月26(日)~2月27日(月)
訪問先: 大阪市・大阪市中央卸売市場資料室
実施者: 森脇 孝広
大阪市中央卸売市場資料室では、ビキニ事件当時の市場関係者の対応がうかがえる文献の閲覧と複写を行った。同市場に関しては、本場開設50周年を記念して出版された『本場50年の歩み』(1982年)のなかに事件関連の記述があり、そのもとになった資料が保存されていないかどうかを資料室担当の酒井亮介氏に尋ねてみたが、保存されていないとのことであった。 (森脇 孝広)
資料調査(北海道) 【 昭和20年代におけるスルメの輸出 】
日程: 2012年2月19日(日 )~2月22日(水)
訪問先: 江別市・北海道立図書館、函館市・函館大学図書館
実施者: 中居 裕
本年度は、昭和20年代におけるスルメの輸出に関する資料調査を主に行ってきたが、今回は北海道江別市の北海道立図書館北方資料室と函館市の函館大学付属図書館資料室において当該資料の探索を行った。前者では、所蔵する北海道商工部発行(月刊)の「貿易北海道」及び「同速報版」を閲覧し、スルメの輸出関連の記事を検索した。昭和20年代において北海道からの輸出品の中心がスルメなどの海産品であったからである。さらに後者では、函館海産物関係の所管資料のなかからスルメ輸出関係資料のコピーと業界紙の検索を行った。
今回の調査では、スルメ輸出関係についての資料をある程度確保ができたが、今後は収集した資料の解析の作業とともに輸出中継基地であった香港市場におけるスルメ取引関係の資料の確保に努めたいと考えている。 (中居 裕)
資料調査(静岡) 【 ビキニ事件関係資料調査 】
日程: 2012年2月18(土)~2月20日(月)
訪問地: 静岡県焼津市(焼津市立図書館・浜当目区民会館)/歴史文化情報センター(静岡市)
実施者: 森脇 孝広
焼津市立図書館にて、昨年度調査の続きとして焼津市議会定例会議事録の閲覧・複写を行った。1956年度公益質屋歳入歳出予算に関する審議のなかで多くの漁民が公益質屋を利用している実態が報告されており、事件に直接関係する問題ではないものの、漁民の生活の一端がうかがえるものとして複写した。浜当目区民会館では、浜当目区有文書を閲覧し、青年会の事務連絡文書、区長文書綴等のデジカメ撮影を行った。歴史文化情報センターでは、『静岡新聞』のコピーを閲覧した。ビキニ事件関連の記事は膨大な数にのぼるが、記事目録として幡谷雅之『静岡新聞にみる静岡県昭和水産史』(まな出版企画、2008年)が出版されており、こちらを参考にしながら事件関連の記事を選定しデジカメ撮影した。 (森脇 孝広)
資料調査(山形) 【 羽柴雄輔に関する資料調査 】
日程: 2012年2月18日 - 2月20日
訪問先: 鶴岡市立図書館・鶴岡市郷土資料館、本間美術館
実施者: 中野 泰
2012年2月18日土曜日、19日日曜日は、鶴岡市立図書館・鶴岡市郷土資料館にて、2月20日月曜日は、本間美術館にて、『茲山魚譜』を筆写した羽柴雄輔の資料を収集した。
前者においては、羽柴雄輔の『かりのおとづれ』など、書簡類を中心に、後者においては、千瓢庵集書を対象に、魚譜に関わる博物学関連の資料収集を行った。 (中野 泰)
資料調査(岡山) 【瀬戸内海汚染総合調査】
日程: 2012年 2月 14日(火) ~ 2月 15日(水)
訪問先: 岡山県立図書館、倉敷市立図書館
実施者: 足立泰紀
「瀬戸内海汚染調査団」は、1971年から72年にわたり瀬戸内海各地の重化学工業化に伴う漁業被害の実態を克明に調査した。調査は、漁協関係者や漁民からの聞き取りのみならず、漁業被害の生態学的自然科学的な調査にも及んでいる。とりわけ播磨灘、水島灘は、調査の重点がおかれた地域である。今回の調査では、水島灘で調査団が調査を行った地域に関する補充資料を中心に、水島コンビナートに関わる関連文献・調査資料、行政計画書、社史等を渉猟した。60年代の水島灘での地元漁民層の対応を示す一次資料の所在確認はできなかったが、播磨灘海域における急速な重化学工業開発がもたらす諸々の問題ときわめて類似した「同時代」的状況にあることは確認できた。「調査団」をはじめとする各地の住民運動が、国や地方の開発行政にいかなる影響を与えていったのかという問題は、さらに検討を要する課題である。 (足立 泰紀)
資料調査(東京海洋大) 【 漁業実習報告書について 】
日程: 2012年2月6日(月)~2月8日(水)
訪問先: 東京海洋大学附属図書館(東京都品川区)
実施者: 片岡千賀之
東京海洋大学付属図書館には大正12年から昭和56年までの学生による漁業実習報告書などが所蔵されている。漁業学科、製造学科、増殖学科の実習報告書があるが、漁業実習報告書が最も多く、充実している。全国各地の漁業地において、漁業の実態、漁船漁具の構造、操業方法、経営収支などが調べられている。今回はそのうち、長崎県の漁業に関係して汽船トロール、以西底曳網、母船式レンコダイ延縄漁業などに関する報告書を閲覧した。当時の操業の実態が詳しく記録されていて、文献資料や統計からは計り知れない貴重な情報が得られる。コピーができないので、3日間、通い詰めても目を通す報告書の数は限られる。漁業実習報告書のタイトル(地域、漁業種類など)、学生名の一覧は当図書館のホームページでみることができる。 (片岡 千賀之)
資料調査(北海道立文書館)
日程: 2012年1月26日~1月28日
訪問先: 北海道立文書館調査
実施者: 小岩信竹
北海道立文書館の調査は、前回に引き続いてのものであり、本年度は2度目である。前回までは同文書館にある免許漁業権台帳やそれと関係する漁場の図面を閲覧することであった。今回は、同館が所蔵する公文書のうち、漁業制度改革以前の漁業組合に関する書類を閲覧した。それらは体系的なものというよりは関係文書に含まれるものである。その大半は昭和期の起債関係書類である。これらは漁業組合が起債により資金を調達する際に北海道庁に提出した文書である。これらを見ることによって、何故、資金が必要であったのかがわかるが、そうした書類に添付されている漁業組合の沿革により、設立以来の事業の概略も知ることができる。
なお、これ以外に火山の爆発による噴火湾地域の漁業組合の被災状況を記録した調査記録があり、漁業組合の実態がわかる。こうした文書を閲覧できたことは北海道の漁業制度改革を考察する上で役立つと考えられる。 (小岩 信竹)
写真: 北海道立文書館
資料調査(長崎) 【 平戸市生月町島の館 】
実施日: 2012年1月19日
訪問先: 長崎県平戸市生月町
実施者: 片岡千賀之
西海捕鯨の中心地である長崎県における明治期の捕鯨業(捕鯨業の近代化過程)を調べており、その関係で当地の捕鯨資料を展示している平戸市生月町島の館を訪問した。生月御崎捕鯨場と平戸瀬戸捕鯨場、益富家、鯨に関する資料で、実物をみると、文書だけでは計り知れない感覚を養なうことができる。また、学芸員の中園成生氏は当地の捕鯨について多数の著作があり、意見をお聞きするとともに、たくさんの関係資料をいただいた。(片岡 千賀之)