平成22年度 第1回共同研究会
日時: 2010年7月18日(日)13:00~18:00
場所: 神奈川大学 日本常民文化研究所会議室
参加者: 清水郁郎、井上潤、原田健一、小島摩文、高城玲、加藤友子、 羽毛田智幸、小林光一郎、因琢哉、岡田翔平
2010年度第1回目の共同研究会を神奈川大学で開催した。
主として、清水郁郎「アチックフィルム・写真にみるモノ・身体・表象─空間・建築物と人の関係、及び、口之島調査から」という研究報告を中心に、「口之島調査関連の資料について」、「現時点でのフィルム・写真の整理状況について」、「2010年度の調査について」などが議論された。
清水報告では、空間・建築物と人との関係に焦点を当て、本共同研究の目的でもある「モノという物質文化の問題」や「モノと人との関係性(特にモノを介した身体技法)の問題」について、前年度の口之島調査を踏まえた議論が行われた。
報告者のこれまでの東南アジア大陸部や奄美などにおける空間や建築に関する研究成果を活かしながら、アチックフィルムや写真に出てくる空間や建築と人との関係をどのように捉えるかという研究視座についても議論された。
特に、生態環境というより広い視野の中で建築と人の身体との関係に焦点を当てる必要があること、また、座り方という身体技法や身体感覚を例にフィルムや写真資料における建築と人との関係に光を当てる可能性について、参加者の間でも意見交換がなされた。 (高城玲)
写真左上 【1934年、口之島の高倉(神奈川大学所蔵資料 目録番号:ア-10-25)】
写真右上 【ラオス、ルアンプラバンにおけるタイ・ルー族の穀倉(清水郁郎)】
写真左上 【1934年、口之島の民家と道(神奈川大学所蔵資料 目録番号:ア-10-26)】
写真右上 【ラオス、ルアンプラバンにおけるタイ・ルー族の民家(清水郁郎)】
写真上 【ラオス、ルアンプラバンにおけるタイ・ルー族の民家内(清水郁郎)】
調査(鹿児島県) 【 トカラ列島口之島におけるアチックフィルム上映会 】
日程: 2010年3月22日(月)~ 3月25日(木)
実施地: 鹿児島県十島村立口之島小学校
参加者: 高城玲、井上 潤、原田 健一、小島 摩文、飯田 卓、清水 郁郎、岡田翔平、因琢哉
1934(昭和9)年、渋沢敬三らのアチック調査団は、前年に竣成就航した十島丸に乗って薩南十島を訪れ、学際的な総合調査を行っている。その中に口之島も含まれ、当時の調査内容を貴重な動画や写真として記録にとどめている。
今回の共同研究調査では、日本常民文化研究所が所蔵するそうした「アチックフィルム・写真」の薩南十島の映像を地元の口之島小学校で上映し、関連する情報を現地の住民の方々から聴き取ることを主な目的とした。
2010年3月23日に口之島小学校の協力を得て開催した上映会には、島民の約半数の50人程が集まってくれた。約80年弱前の映像に島民の方々は多大な関心を示し、当時やその後の状況に関する聞き取り調査を行うことが出来た。中には、当時の写真に幼少期の本人が写っているという島民の方もおられた。
また、島内で最古老の一人の方には、重点的な聞き取り調査を行ったほか、鹿児島市内の十島村役場では、村長ほかの方々にも映像を見て頂き、同様の聞き取り調査を行うことが出来た。
なお、今回の調査に際して、事前に『アチック写真Vol.2』という口之島の写真を集めた冊子を編集・発行し、それを住民に配付して聞き取り調査を行った。
今回の調査における上映と聞き取りの場面は、全て新たにビデオ映像として記録してあり、この新たな映像も今後の研究資料として活用する予定である。 (高城玲)
写真上段より
・ 口之島小学校での上映会の様子
・ アチック写真Vol.2