共同研究

4-1.アチックフィルム・写真にみるモノ・身体・表象

資料調査 【 年の瀬に宮本記念財団にて調査 】

日程: 2012年12月21日(金)~ 12月22日(土)
訪問先: 宮本記念財団
実施者: 原田健一

 年の瀬も迫った12月21日(金)と22日(土)に宮本記念財団にて、宮本馨太郎フィルムの関連資料の調査を行った。宮本財団には、関連する資料やフィルムについて述べた文章が掲載された雑誌などが残されており、フィルム内容を考えるうえで重要なものが多い。調査をご快諾いただいた宮本記念財団に感謝したい。 (原田 健一)

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— 共同研究者の連携強化に関わる第4回国際シンポジウムの参加報告 —

第4回国際シンポジウム 「二つのミンゾク学 —多文化共生のための人類文化研究—」
   Ⅰ部: 国際シンポジウム 12月8日(土) 10:30-17:30 (16号館セレストホール)
        「民族の交錯—多文化社会に生きる—」
   Ⅱ部: 公開研究会 12月9日(日) 10:00-17:30 (16号館視聴覚ホールB)
        「ミンゾク研究の光と影—近代日本の異文化体験と学知—」
   会場:神奈川大学横浜キャンパス


 ~ 「ミンゾク研究の光と影」に参加して ~

 原田健一


 公開研究会「ミンゾク研究の光と影-近代日本の異文化体験と学知-」に参加した。人類学が自然人類学から文化人類学へと移行する1930年代以降、民族学と民俗学がどういった政治、社会的な文脈のなかで、その学知を形成していったかを問題化しようとする試みであった。多くの研究者が参加するものであったが、その内容もあって、民族学あるいは民俗学の研究者が大半を占めているようであった。
 中生勝美の報告では、石田栄一郎が樺太でのオロッコ・ギリヤークの調査において、インフォーマーとして役所の戸籍係、学校の教師などを使っていたことが指摘されていて興味深かった。植民地において、さまざまな情報を集積するシステムとして、こうした役割の人びとが活用され、さらには、総力戦化の内地においても、そのシステムが適応されていったことは知られた事実である。戦中期、さらには、占領期と、警察あるいは、CIAの情報収集の基地として、これらの人びとが使われ、時に民族学の調査データとして使われたことは、知と権力との関係を考えるうえで重要であるだけでなく、示唆的である。
 今回の公開研究会では、狭義の民族学、あるいは民俗学の学説史のなかで、議論がなされていた。研究上の必要もあってのことだろうが、私自身が、民族学、あるいは民俗学の研究者でないからだろうか、少し残念でもあった。できるなら、もう少し領域外の研究者にとって、開いた議論がなされれば、さらに意義深いものになったのではないかと思った。

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資料調査ほか 【宮本記念財団】 渋澤敬三・宮本馨太郎の奥三河「花祭」の映画とトーク

日程: 2012年10月8日(月) ~ 10月9日(火)
場t所: 宮本記念財団
参加者: 原田健一

 10月8日(月・祭日)、 渋澤敬三・宮本馨太郎の奥三河「花祭」の映画とトーク (渋沢・宮本アチック フィルム研究会(仮称))に参加。

【上映作品】
 ・ 宮本馨太郎作品「足込花祭」(昭和4年)(財団法人 宮本財団)
 ・ 渋澤敬三作品「花祭 綱町邸」(昭和5年)(神奈川大学常民文化研究所)     
 ・ 「中在家花祭」(昭和9年)(神奈川大学常民文化研究所)
 ・ 宮本馨太郎・瑞夫作品「下粟代花祭」(昭和37年)(財団法人 宮本財団)
 ・ 北村皆雄作品「花祭り—愛知県北設楽郡東栄町 月—」(昭和59年)一部分を上映

 「霜月神楽に祝祭学」の著者、井上隆弘氏による、解説により、花祭りの映像を時代順に見る。花祭りという民俗行事、儀礼の時間的変遷を、映像でたどる試みである。新しい研究のアプローチといえる。なお、フィルムは、新しくデジタル化されたことで、かなり精度があがり、細部まで、見ることが可能になっている。今後、研究する上で、より多くの情報を読み取ることができるだろう。会場からは、さまざまな反応、意見があがった。                                         
 なお、当日の8日は、財団にて、午前9時30分より午後1時まで、資料の調査をおこない、翌9日は、午前11時より、資料の調査を行い、午後5時に終了し、帰新した。 (原田 健一)

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平成24年度 第1回共同研究会 及び 民博収蔵庫補充調査

日程: 2012年 10月 13 日 (土) ~  10月14日 (日) 
場所: 国立民族学博物館
参加者: 原田健一、井上潤、小島摩文、清水郁郎、飯田卓、羽毛田智幸、因琢哉、岡田翔平、高城玲

 今年度第1回目の共同研究会と補充調査を国立民族学博物館で行った。
 研究会では以下の発表と全体での討議が行われた。
  1. 「アチックフィルム・写真」共同研究での調査・資料整理─成果公開に向けて  (高城玲)
  2. アチックミューゼアムの調査写真・フィルム─渋沢の視点・同人の視点 (羽毛田智幸)
  3. 来年度シンポジウムと成果公開について(全員)

 高城発表では、研究対象である映像資料の概要を再確認し、これまでの共同研究による調査(特に現地上映会)と共同研究会での発表を振り返った。また、現時点での資料整理状況を確認することによって、来年度の成果公開に向けて残された課題を整理した。
 羽毛田発表では、主に1934年に薩南十島でアチック調査団が撮影した写真資料に着目し、渋沢敬三本人やアチック同人個々人が、何を対象にどれだけの枚数を撮影したのかに関して分析を行った。そこでは、調査団全体としての視点を抽象的に議論する前に、個々の写真資料から具体的に分析を積み重ねる必要性が指摘された。
 来年度のシンポジウムと成果公開に関しては、共同研究者全員から個々人の個別テーマに関する概要説明がなされ、全体の枠組みに関して議論が行われた。
 なお、今回は昨年2011年7月に行った国立民族学博物館収蔵庫での補充調査もあわせて行った。国立民族学博物館には、当時アチックミューゼアムが集めた収集品が現在でも保管されている。特に今回の補充調査では、1934年にアチック調査団が薩南十島で映像に記録した民具などのモノが、具体的にどれだけ収集されて保管されレいるのかに関する照合作業を継続して行った。 (高城 玲)

民博での共同研究会 民博収蔵庫での調査(右がアチックフィルムの一場面で左が民博での収蔵品)

写真左上: 民博での共同研究会
写真右上: 民博収蔵庫での調査(右がアチックフィルムの一場面で左が民博での収蔵品)

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合同成果発表会

日時: 2012年 9月 15日(土) 
場所: 神奈川大学横浜キャンパス
参加者: 高城 玲、羽毛田 智幸

 本共同研究事業初の試みとして、「アジア祭祀芸能の比較研究」共同研究グループ(代表:野村伸一慶應義塾大学教授)が企画した合同成果発表会「海を越えての交流─民俗、祭祀、芸能の面から」に参加し、発表を行った。
 発表「アチックフィルムの上映と現地での上映会─「多島海探訪記」(1936年)・「パイワン族の探訪記録」(1937年)」では、アチックフィルム・写真の概要説明や朝鮮多島海と台湾パイワン族のアチックフィルム上映に引き続いて、共同研究による現地上映会調査の紹介を行い、最後に研究の今後の可能性を議論した。
 特に、多島海やパイワン族の映像はこれまで存在が知られてはいたものの、実際に上映されたことがほとんどなく、参加した人々の関心を呼んでいた。「アジア祭祀芸能の比較研究」班には、朝鮮半島や台湾の専門家の方々もおられ、研究班間の交流を通して映像の具体的内容に関しても情報を得ることができた。  (高城 玲)

写真:会場の様子

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調査(鹿児島県) 【 トカラ列島口之島でのアチックフィルム関連調査 】

日程: 2012年 3 月 26 日(月)~ 3 月 29 日(木) 
実施地: 鹿児島県十島村口之島及び鹿児島市
参加者: 小島摩文、清水郁郎、飯田卓、岡田翔平

昭和9年のフィルムに写っていた方の聞書調査

 2010年3月23日に鹿児島県十島村の協力を得て、口之島小学校体育館でアチックフィルム・写真の上映会を開催した(2010年3月口之島上映会調査報告)。開催した上映会には、島民の約半数の50人程が集まってくださり、約80年弱前の映像に島民の方々は多大な関心を示していただいた。
 今回の調査では、前回の調査で当時の写真に幼少期の本人が写っているという女性、島内最高齢の男性、島内の祭祀に詳しいご夫婦、島内での大工経験のある男性2名、宿のご主人で漁師でもある男性、口之島出身の口之島小学校の校長先生から聞き取り調査をすると共に、できる限り現在見ることのできる民具などを観察した。

大工経験のある方の聞書調査

 調査はおもに当該フィルムの撮影時期に収集されたと考えられる民具で、現在国立民族学博物館に収蔵されている資料の写真を話者にみて頂き、名称、使用方法などを教えて頂く方法をとった。また建築について調査を行った清水は2軒の住宅について実測して図面を作成すると共に居住者および島内での大工経験者から材質、工法、間取りなどについて聞き取りを調査を行った。
 民具の名称、使用方法などについて多くの情報が得られるとともに、住居に関しても梁の組み方など細かな点に関しても話しを聞くことができた。 なお、今回は口之島での調査を小島、清水、飯田、岡田が担当し、同時に2011年3月の中之島での上映会を受けた中之島での聞き取り調査を、本共同研究班の高城、小林、因がそれぞれ担当した(2012年3月中之島調査報告)。 (小島 摩文)

写真上段より: 
■ 昭和9年のフィルムに写っていた方の聞書調査 
■ 大工経験のある方の聞書調査
(すべて筆者撮影

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調査(鹿児島県) 【 トカラ列島中之島でのアチックフィルム関連調査 】

日程: 2012年 3 月 26 日(月)~ 3 月 29 日(木)
実施地: 鹿児島県十島村中之島及び鹿児島市
実施者: 高城玲、小林光一郎、因琢哉

 2011年3月19日に、鹿児島県十島村の協力を得て、役場中之島支所(コミュニティセンター)でアチックフィルム・写真の上映会を開催した(2011年3月中之島上映会調査報告)。そこには約70名弱の島民が集まり、戦前の島の映像に多くの島民が多大な関心を寄せてくれた。
 今回の調査では、前回の上映会時に当時の映像に関する情報を寄せてくれた高齢者を中心に戸別訪問を行い、より詳細な聞き取り調査を行った。特に、中之島は港に近い西地区、東地区の他、高台の高尾・池原地区などに分かれている中で、今回は西地区と池原地区の住民の方を中心に聞き取りを行った。
 聞き取りの結果、西地区と東地区の差異が比較的大きいこと、その中で、アチックフィルム・写真「薩南十島」の中之島に関しては、特に民俗芸能などに関して、西地区の映像が多いことなどが明らかになった。また、当時の写真に「糸満の舟」などど記されている「糸満」という言葉は、沖縄の地名「糸満」に限定される呼称ではなく、奄美大島を中心とする中之島から見た沖縄方面の南方全般を指す独自の呼び名であることなどが分かった。
 なお、今回は中之島での調査を高城、小林、因が担当し、同時に2010年3月の口之島での上映会を受けた口之島での聞き取り調査を、本共同研究班の小島、清水、飯田がそれぞれ担当した(2012年3月口之島調査報告)。 (高城 玲)

アチック写真 目録番号:ア-10-44「中之島御岳」現在の中之島の御岳アチック写真 目録番号:ア-10-78「中之島草葺きの祠」祠はないが特徴的な石が見えるアチック写真 目録番号:ア-10-77「中之島の島中社」現在の中之島の島中社

写真上段左より右下へ:
■ アチック写真 目録番号:ア-10-44「中之島御岳」 ■ 現在の中之島の御岳
■ アチック写真 目録番号:ア-10-78「中之島草葺きの祠」 ■ 祠はないが特徴的な石が見える
■ アチック写真 目録番号:ア-10-77「中之島の島中社」 ■ 現在の中之島の島中社

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平成23年度 第2回共同研究会

日程: 2012年 3 月 29 日(木) 
場所: 鹿児島市内会議室
参加者: 小島摩文、清水郁郎、飯田卓、高城玲、小林光一郎、因琢哉、岡田翔平

鹿児島市内会議室での研究会

 トカラ列島口之島・中之島調査後に、鹿児島市内で平成23年度第2回共同研究会を開催した。(2012年3月口之島調査報告2012年3月中之島調査報告) 
 これまで3年間の共同研究の調査と成果を確認し、残り2年間に予定される成果発表に関する各自の発表予定内容と議論を行った。
 具体的には、1.口之島・中之島調査報告、2.これまでの調査・研究会概要、3.これまでの資料整理状況概要、4.2012年度・2013年度の計画、5.2013年12月の公開研究会、6.刊行物成果発表、7.各自の成果発表テーマという7項目に関して議論を行った。特に、各自の発表テーマを早い時期に絞り込んだ上で、公開研究会の方向性を議論する必要性が確認された。 (高城 玲)

写真: 鹿児島市内会議室での研究会

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海外調査(台湾) 【 台湾 屏東県におけるアチックフィルム関連の現地調査 】

日程: 2011年12月16日(金)~12月20日(火)
訪問先: 台湾 台南県、屏東県 泰武郷、瑪家郷、三地門郷
参加者: 井上潤、原田健一、小島摩文、清水郁郎、飯田卓、高城玲

 アチックフィルム・写真には1937(昭和12)年3月から4月に撮影された台湾南部の山地に居住するパイワン(排湾、Paiwan)族に関する映像が含まれる。この映像は、戦前の日本統治下における台湾において、鹿野忠雄を案内役とするアチック調査団の宮本馨太郎らによって撮影、編集された貴重なものである。
 今回の海外調査では、昨年12月に行われたパイワン族映像関連調査に引き続き、フィルム・写真に映されている台湾屏東県の山地を再訪し、フィルムや写真を現地の人に見てもらいながら、当時やその後の状況に関する聞き取り調査を行った。

 具体的な訪問先と調査の概要は以下の通りである。
(1) 屏東県瑪家郷マカザヤザヤのパイワン族集落を訪問。80歳を超える同集落出身の老人から集落の景観や来歴・神話などの聞き取り調査を行った。
(2) 屏東県瑪家郷パクヒョウの山中にある旧集落跡地を訪問。集落跡地の来歴に関する聞き取り調査を行った。
(3) 屏東県瑪家郷、三地門郷の行政院管轄「台湾原住民族文化園」を訪問。同文化園の会議室にて、瑪家郷のパイワン族「大頭目」の末裔ら5名の老人に、プロジェクター上映によって「パイワン」の映像を見てもらいながら、聞き取り調査を行った。
(4) 屏東県泰武郷公所にて上映と聞きとり調査を行った。村在住の老人ら約40名あまりが映像を見に参集し、プロジェクターによる「パイワン」映像の上映を行いながら聞き取り調査を行った。

屏東県瑪家郷のパイワン族集落での聞き取り調査 屏東県瑪家郷のパイワン族集落跡地で集落の来歴を語ってくれた二人

 フィルムの上映では、現在まで受け継がれている手織り技法を再現してくれた女性や、当時の映像には含まれていない踊りの際の歌を披露してくれた老人等など、撮影から70年余りを経てなお現地の人々の記憶を喚起する映像の力を見せつけられた。
 また、昨年調査における上映の噂を聞きつけて、わざわざ隣村からフィルムの上映会に足を運んでくれた老人も含まれており、アチックフィルム・写真に対する現地の関心の高さを再認識させられた。中には、自らの父が映像に映っているという事例も見られたが、その本人が既に80歳を越えていることを考えると、この数年が現地上映による調査に残された重要な時間であることを改めて確認することにもなった。
 調査に際しては、台湾行政院原住民族委員会の林志仁氏や華阿財氏らに案内の労をとっていただいた。
 また、今回の調査では2011年10月に開館したばかりの国立台湾歴史博物館(在台南)を訪問し、主に映像や写真による自文化と歴史の表象に関する調査も行うことができた。 (高城玲)

屏東県「台湾原住民族文化園」でのフィルム上映調査に協力してくれた「大頭目」の末裔等の方々 屏東県泰武郷でのフィルム上映調査 屏東県泰武郷でのフィルム上映調査に集まってくれた方々

写真上段左:屏東県瑪家郷のパイワン族集落での聞き取り調査
写真上段右:屏東県瑪家郷のパイワン族集落跡地で集落の来歴を語ってくれた二人
写真中段左:屏東県「台湾原住民族文化園」でのフィルム上映調査に協力してくれた「大頭目」の末裔等の方々
写真中段右:屏東県泰武郷でのフィルム上映調査
写真下段:屏東県泰武郷でのフィルム上映調査に集まってくれた方々

アチックミューゼアムにおける写真資料

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